なぜいま、星座なのか。もしかしたら壮大な伏線が張られていたのかもしれない。
12月22日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第59回では、パイロットの卵であるヒロインの岩倉舞(福原遥)が、小学生の描いた星座図に驚く場面があった。
航空学校を卒業してハカタエアラインに内定するも、リーマンショックの影響で入社が1年先延ばしになった舞。現在は祖母・祥子(高畑淳子)の手伝いをするため長崎・五島に滞在中だ。祥子の家には島への留学制度を利用して、東京から転校してきた母親・美知留(辻本みず希)と息子・朝陽(又野暁仁)の親子が身を寄せていた。
東京の学校では周りに馴染めず、五島でも学校に行きたくという朝陽。だが知的好奇心は旺盛で、図鑑を読み込んでは様々な天体の豆知識を披露し、舞を驚かせていた。
そんな朝陽は庭に面した通路に布を敷き、庭でとれた南天の実を並べていた。舞は当初、地図を描いていると思っていたが、朝陽が描いていたのはオリオン座やおうし座、ふたご座といった星座図。作中では2009年の1月末を迎えており、どうやら朝陽は冬の星座を描いていたようだ。
「視聴者には朝陽が星をあしらった靴下を履いていることに気付いた人も多かったようです。舞は朝陽に双眼鏡を貸し、朝陽は夜空の星を観測することに夢中になっていました。このようにやたらと星をフィーチャーする内容に、今後の展開に向けての伏線が張られていたのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)
その伏線とはすなわち、舞が宇宙飛行士を目指すという筋書きだ。人力飛行機サークルでパイロットを務め、空を飛ぶ魅力に取りつかれた舞は、旅客機のパイロットを目指すことに。浪花大学を中退して航空学校に入学し、無事に卒業へと漕ぎつけていた。
ハカタエアラインへの入社は先送りになったものの、日本の国内線はリーマンショックの影響が少なく、LCC(ローコストキャリア)の航空会社は翌年には搭乗者数を回復。この調子なら1年後には舞も無事にハカタエアラインで旅客機パイロットとしての訓練を開始できそうだ。
一方で「舞いあがれ!」は全体の半分も終わっておらず、まだ3カ月以上も放送が残っている。この調子だと「パイロットを目指す物語」は早々に、ゴールが見えて来てしまいそうなもの。だからこそ舞は今後、パイロット以外の夢を抱くのではないだろうか。
「これまでの放送を振り返ると、舞の父・浩太(高橋克典)も宇宙への進出を考えていました。自分の工場で飛行機の部品を作り、その部品を載せた飛行機を舞に操縦してもらいたいとの夢を持っている浩太。そんな父親の夢は飛行機に留まらず人工衛星作りにも向けられており、10月の時点で宇宙進出の可能性が描かれていたのです」(前出・テレビ誌ライター)
10月26日放送の第18話では、浩太が「人工衛星への挑戦」と題した経営者向けのセミナーに参加。11月1日放送の第22話では、人工衛星の打ち上げ計画に関わっている会社の工場を見学すると舞に説明する場面もあった。
その流れで行くと、パイロットになる舞を応援していた浩太が、次に舞が宇宙飛行士を目指すと言い出した時にも、背中を押してくれる可能性は大きいはず。しかも作中の時代設定もまた、舞が宇宙を目指すきっかけになりそうだという。
「2010年4月には日本で二人目の女性宇宙飛行士となった山崎直子氏が、スペースシャトルディスカバリーに搭乗。持参した小型の琴を宇宙滞在中に演奏する姿などが大きく報じられました。舞はハカタエアラインへの入社が2010年4月に延期されており、タイミングはドンピシャ。最初はパイロットとしての活躍を目指すも、どこかのタイミングで宇宙飛行士に転身しても不思議ではありません」(前出・テレビ誌ライター)
去る12月9日にはZOZO創業者の前澤友作氏が、月周回旅行に同行するメンバーを発表して話題になったばかり。もしかしたら「舞いあがれ!」でも、ファンドマネージャーとしてリーマンショックを予言した兄の悠人(横山裕)が巨額の資産を積み上げ、妹の宇宙飛行士挑戦を金銭面でバックアップする可能性にも期待できそうだ。