【インタビュー】SKE48からプロレスラーに!荒井優希の初写真集『無敵の素顔』で、友だちから結婚すると勘違いされたワケとは

荒井優希

 3月末にSKE48を卒業し、東京女子プロレス所属のプロレスラーに専念することとなった荒井優希。その門出を祝うかのように、1st写真集『無敵の素顔』(KADOKAWA)が5月23日にリリースされた。

 本サイトでは今回、写真集発売を目前に控えた荒井にインタビュー。インドネシア・バリでのロケ撮影に関するエピソードや、写真集リリースに至る経緯などについて話を聞いた。

【プロフィール】
あらい・ゆき。1998年5月7日、京都府出身。
所属:東京女子プロレス
2013年11月、「AKB48グループ ドラフト会議」にて指名を受け、SKE48 Team KⅡに所属しデビュー。
2021年5月からSKE48と並行してプロレスに本格参入。一年を通してプロレスに真摯に取り組む姿勢が評価され、東京スポーツ新聞社制定「2021年度プロレス大賞」と、週刊プロレス制定「プロレスグランプリ2021」の各新人賞をダブル受賞。2022年7 月、大田区総合体育館大会で赤井沙希とタッグを組み、坂崎ユカ&瑞希組に勝利、プリンセスタッグ第10代王者に。2024年1月、後楽園ホールでマックス・ジ・インペイラーからインターナショナル・プリンセス王座を奪取し、シングルでは初のベルト獲得。同年11月には6度目の防衛に成功し、IP 第12代王者として王座防衛最多記録を更新した。2025年3月末にSKE48を卒業し、4月からプロレスラー一本で活動。

ふだんは白と黒しか着ないという荒井らしいファッションだ

 

◆“唯一無二の荒井優希”の写真集だと思っています

――3月末にSKE48を卒業されて2カ月ほどですが、レスラー専業になった印象はどうですか。

荒井優希 これまで一番気にしていたのは、他の選手に比べて試合数が少ないこと。とくに土日はSKE48の活動と被ってしまうのでなかなか試合に出られず、そこに負い目を感じていました。それが今では東京女子プロレスの大会にはすべて出場していて、たくさんの試合に出られていることがまず楽しいです。

――しかも4月18日(現地時間)には米ラスベガスの試合で見事、勝利しました。

荒井 SKE48卒業後に少しお休みをいただいていて、活動を再開したのがラスベガス大会からでした。そこは本当に偶然なんですけど、うれしいことに全米デビューができました。

――ちなみにSKE48でアメリカに行ったことは。

荒井 実はあるんですよ(ニヤリ)。ただMV撮影などで公演はしていないので、お客さんの前でパフォーマンスしたのは今回が初めてでした。

――SKE48に入ったのは2013年8月に「AKB48 2013真夏のドームツアー」京セラドーム公演を観たのがきっかけだったとか。

荒井 友達に連れられていったら、そこでオーディションの発表があって、運命かと思いました。あとはノリと勢いですね(笑)。そのまま気が付いたらプロレスラーになっていました。

――そこから12年近くが経ったこのタイミングで1st写真集が発売。ファンとしてはアイドルの写真集として見るのか、レスラーの写真集として見るのか、悩ましいところかもしれません。

荒井 私もアイドルとかプロレスとかいろんなことをいっぱいやりすぎて、そんな人はほかにいない“唯一無二の荒井優希”だと思っているので。普通に「荒井優希の写真集」だと思っていただければ嬉しいです。

――素晴らしい。「肩書:荒井優希」ですね。その写真集で、荒井さん自身として最も見てもらいところはどこですか。

荒井 お気に入りのカットにもあげているんですが、背中の筋肉。脊柱起立筋が発達してるところを見てほしいです。

――脊柱起立筋…ですか?

荒井 背中の真ん中がめちゃくちゃ窪んでいて、ヒップみたいに見えるのを気にしていたんです。でもそれが筋肉だったらしくて。以前からジムのトレーナーさんに「荒井さんの脊柱起立筋ヤバいね」みたいなことを言われていて、何のことやらって思っていたんですけど、実は専門家にも褒められるという。

――それって、プロレスを始める前からですか?

荒井 以前からそうです。小さいころから10年くらいバレエを習っていて、それで筋肉がついたんだと思います。

――その筋肉のおかげで脚も高く上がりますし、最初から必殺技として「Finally」(かかと落とし)を使っていたのはバレエの経験も活きているんですね。

荒井 そうです。2018年にドラマ『豆腐プロレス』のリアルイベントにバブリー荒井として初出場したときから使っていました。

――本格的にレスラーになろうと思う前ですね。

荒井 腕力がないのでボディスラムみたいに人を持ち上げることもできないし、受け身も取れませんでした。トップロープから飛ぶなんてこともできなくて…。でも『豆腐プロレス』のオーディションで「身体柔らかいです!」ってアピールして脚を上げたのを当時のコーチが覚えていてくださって、かかと落としならできるんじゃないかってなりました。

――それが今ではサソリ固めのような固め技も使いますし、フルネルソンバスターで投げ技もできるようになりました

荒井 あれもたぶん、脊柱起立筋で投げてるんです。背中が硬くてブリッジは得意ではないですが、背中の筋力には自信あります。

脊柱起立筋が目立つページがお気に入りだという

◆日本に帰ってきたら「結婚するの!?」みたいになってました(笑)

――これからプロレスで本格的に活躍していくタイミングでの1st写真集は象徴的だと思います。オファーが来た時の印象はいかがでしたか。

荒井 正直な印象は「誰が買うんですか?」みたいな感じで、ほんとにやるのかどうか、すごく迷いました。写真集のお話をいただけたことはすごく嬉しかったんですけど、最近はグラビアもあまりやっていなかったので、「ファンのみんなは嬉しいのかな?」って。

――迷った期間はどのくらいですか。

荒井 人生の中では長いほうです。私ふだん、そんなに迷わないので。迷うことのほうがまず珍しい。やりたいことはやりたい、やりたくないことはやりたくないというタイプなので、写真集はちょっと迷ったほうですね。でもマネージャーさんに説得されて、「じゃあやります!」って決めました。

――プロレスに挑戦するときはどうだったんですか。

荒井 プロレスは即決で「やります!」って言いました。マネージャーさんから「ダメです。ちゃんと考えてください」って言われて。訊いてきたからやるって言ったのに「もうちょっと考えろ」って(笑)。

――いざロケに行った時の気持ちは?

荒井 すごく楽しくて、写真集やるって決めてよかったって思いました!

――バリ島は初めてだったそうですが、どんなところでしたか。

荒井 日本で見られないものがいっぱい見られました。ふだん海を見る機会も少ないので、ビーチも「すごい、こんなに広いんだ!」って。木々も大きいし、馬も走っているし。移動するときにロケバスから後ろを見たら馬が走っていて、「なにこれ!」みたいな(笑)。あと夕方に見たピンク色の空がめちゃくちゃ綺麗で。「なんでピンクなの?」って驚きました。

――京都出身なので海にはあまり馴染みがないのかもしれませんね。ただSKE48のMVにはビーチで撮っているものも多いですが。

荒井 たしかに撮影で沖縄とかにも行っているんですけど、その時は景色とかに興味を抱くフェーズじゃなかったです。移動して、何回も踊って、疲れ果ててホテルに戻るみたいな。楽しめる余裕があまりなかったです。

――それが今回はロケそのものが楽しかったと。

荒井 ずっと楽しかったです! これは南国あるあるかもしれないですけど、ホテルに戻ったらベッドの上にタオルでアートみたいな模様を作ってくれてるんです。

――ありますよね、バラとか。たしかに南国あるあるかもしれません。

荒井 毎日、部屋に戻るたびに象とか猿とかいろいろ作ってくださっていて。それがすごく嬉しくて、パシャパシャ撮って、友達にLINEで送ってたんです。そうしたら、そこに文字も添えてあったみたいで、「結婚おめでとうございます」みたいな内容だったらしく。

――タオルアートに気を取られて、文字まで読んでいなかったと。

荒井 それを友達に送っていたから、「荒井がSKE48を辞めて結婚する」みたいに誤解されちゃって。しかも飛行機に乗る直前にLINEしたので、何時間も返信が読めなくて、その体で話が進んでいて面白かったです。日本に帰ってきたら「結婚するの!?」みたいになってました(笑)

◆メイクは動画に撮ってもらって練習しました

――衣装に関してお聞きしたいんですが、今回は赤いランジェリーなど色とりどりの衣装が印象的です。

荒井 私の私服ってほとんど白か黒なんです。(写真集をめくりながら)ピンクとか着ないし、こんな緑色のワンピースもあまり着ないですね。これまでのグラビア撮影だったら「ちょっと…」みたいな感じでしたけど、今回の写真集では「なんでもやってみる!」という気持ちで衣装さんにお任せし、いろんな色を用意していただきました。

――写真集ではふだんと雰囲気の異なるカットが多いという印象ですが、メイクのこだわりなどもいつもと違っていたんでしょうか。

荒井 メイクに関してはライブの時も試合の時も、自分でやっていたんです。それが今回の写真集ではメイクさんが、私に似合うメイクをずっと前から考えてくださっていて。私に似合いそうなコスメとかをたくさん用意してくださって、この写真集でのメイクは過去イチ盛れたと思っています。全部メイクさんのおかげです!

――メイクさんはいつもお願いしている方でしたか。

荒井 今回の方はSKE48で撮影している時に、「いつか優希ちゃんのメイクしたいんだよね」って言ってくださった方なんです。それを思い出してオファーさせていただいたんですが、最初は「さすがに写真集はプレッシャーかも」って言われて、確かにと思いました。それでもお願いできて良かったです。

――ヘアアレンジは自分でされているんですか。

荒井 私、ヘアアレンジが苦手で。でもプロレスでは自分でヘアもやらなくてはいけないので、SKE48のメイクさんに相談したら「練習しよう!」ってなりました。試合中に崩れない髪型を私ができるようになるまで練習に付き合ってくださったんです。

――リング上では巻き髪の時もありますよね。

荒井 SKE48ではずっとストレートで、プロレスでも最初はそうだったんですけど、せっかくなので印象変えたくて。これもSKE48のメイクさんが「次からの髪型考えよう」って、私にもできる簡単なヘアアレンジの髪型を考えてくださいました。それを動画に撮ってくださって、何回も見返したらできるからって教えていただいて。全力のサポートのおかげで、ギリできている感じです。

――写真集のタイトル『無敵の素顔』で、「無敵」という言葉にはどういう意味が込められているんでしょうか。

荒井 実はこれ、AIに助けてもらいました(笑)。タイトルを自分で考えることになって、でも締め切りが近くなって焦っていた時に「荒井優希をワードで示してください」ってAIに訊いてみたら「無敵」って出てきたんです。これならプロレスのイメージにも結びつきますし、「素顔」のほうは人間(荒井さん自身)が考えました。

――普通に考えたら「Finally」とか付けるのかなって思っていました。

荒井 それもちょっと考えたんですけど、恥ずかしくなるんじゃないかと思って。だからこのタイトルはAIと一緒に考えました(笑)

――今回の写真集で脊柱起立筋のほかに、ここに注目してほしいというポイントはありますか。

荒井 身体つきがまだ、あまりプロレスラーっぽくないじゃないですか。頑張っても大きくなれない人もいるし、自分の筋肉にどこまで可能性があるのかも分からなくて。

 だから自分がこれからどう変わっていくのかが分からないなかで、いったん現状を残せたと思っています。SKE48卒業のタイミング、プロレスを始めたタイミングの荒井が写真として残っている意味は大きいなって思っていて。いましか見れないかもしれない荒井なので、全部見てほしいですね。

――これから何年もプロレスをやっていくでしょうし、もしかしたら他のことをやるかもしれない。ラジオパーソナリティになっているかもしれない。

荒井 まさかの、喋り続ける! 喋るの大好きです。

――プロレスデビューしたころは、得意技はマイクパフォーマンスだって言ってましたよね。

荒井 え、待って。懐かしい! ごめんなさい、ふざけすぎてましたよね(焦)。今はもう、しゃべらなくても普通に戦えるようになりました。

プロレスラーらしいガッツポーズで魅せてくれた

◆「良いファンに恵まれた」と感じています

――裏表紙は自分で決めたそうですが、これもやはり脊柱起立筋を見てもらいたいからですか。

荒井 この写真は肩がちょっと成長しているなと思って選びました。まだ全然ムキムキではないですけど、三角形の肩に近づいてきたことにびっくりして、この写真にしたんです。自分では後ろ姿を見られないので、私自身も気づいていなかった変化でした。

――それはショルダープレスとかで鍛えるようになったからですか。

荒井 いえ、普通にプロレスしていたらなってました。積み重ねですかね。

――たしかに荒井さんはアイドルとしてもわりと苦労人で、積み重ねられてきた経験があります。

荒井 そのイメージ、まだありますか? 私の下積み時代が長かったこと、けっこうみんな忘れてるんですよ。なんか順調にきた人みたいに思われがちで。

――2013年11月の加入から2018年12月の初選抜( 24thシングル『Stand by you』)まで、約5年かかってましたよね。

荒井 そのころはめちゃくちゃ下積み系だったじゃないですか。でも2017年には選抜総選挙でフューチャーガールズに入らせてもらって(58位)。だから順調っちゃ順調なのかなって不思議な気持ちにもなっていて…。ただ選抜総選挙ではファンの方たちが頑張ってくださったので、「良いファンに恵まれた」と感じています。

――プロレスラーに転向してからも、SKE48時代のファンの人がそのまま付いてきてくれている感じですか。

荒井 けっこう来てくださっています。本当にありがたいことです。

――プロレスに関してはわりと順調なイメージですが、ご自分としてはどうですか。

荒井 細々したことはありますけど、自分としては楽しみながらここまで来れているかなと思います。これからも楽しく試合ができたら幸せですね。

――5月18日には名古屋の書店で予約会があります。

荒井 実は名古屋ではあまりイベントをやってないんです。プロレスの試合もしていないし、これが初めてかもしれない。だから凱旋ですかね。まだ名古屋に住んでいるので全然、凱旋感ないですが(笑)

――27歳という年齢はプロレスラーとしてはこれからという時期。東京女子プロレスを背負う存在として期待されているのでは。

荒井 頑張ります。そんな全力では背負えないんですけど、ちょっとだけ持ちます(笑)

――最後にこれからの荒井さんをこんなふうに応援してほしいといったメッセージをお願いします。

荒井 今回はSKE48を卒業したタイミング、プロレスラー一本になったタイミングで、このような素敵な機会をいただけてとても嬉しかったです。「SKE48を卒業しちゃった…」ってみんなが悲しんでる時に、「写真集を出します!」っていう嬉しい報告ができたこともとっても嬉しかったです。

 私はこれからプロレスラーとして叶えたいことがたくさんあって、最終的には東京ドームを目指しているので、みなさんにはいろんな景色を見せていきたいと思っています。だからこれからも付いて来てくださると嬉しいです。写真集はまず、絶対にゲットしてください! お願いします。

【イベント情報】
お渡し会 6月8日 星野書店近鉄パッセ店
お渡し会 6月21日 HMV&BOOKS SHIBUYA
パネル展 〜6月9日 星野書店近鉄パッセ店
パネル展 〜6月8日 TSUTAYA EBISUBASHI

『荒井優希1st写真集 無敵の素顔』

【書誌情報】
『荒井優希1st写真集 無敵の素顔』
著者:荒井優希
撮影:下田直樹
定価:本体3200円+税
仕様:A4判/128ページ
ISBN:978-4-04-738354-8
発行:株式会社KADOKAWA
発売日:2025年5月23日(金)

(取材:渡邊遥菜/撮影:Issey Nakanishi)