いつも明るい川合麻依巡査がすっかり落ち込んでしまったようだ。
8月25日に放送されたドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(日本テレビ系)の第6話では、主人公の川合巡査(永野芽郁)が交通事故の現場に出くわすことに。単なる自損事故と思いきや、タオルケットにくるまれた赤ちゃんが衝突の勢いで車外に放り出され、その短い生涯を終えるという衝撃シーンが描かれた。
「初めての死亡事故を体験した川合は、食事ものどを通らないほどに落ち込んでしまい、独身寮の自室に閉じこもることに。最初はベッドの上に座り込み、途中からはベッドの横に座り込んでは、クッションを抱きしめたままの体勢で思いつめた表情を見せていました。数日後、父親からの宅配便が届き、隣室に住む先輩警察官の藤聖子(戸田恵梨香)が『川合、荷物届いてるよ、お父さんから』と呼びかけることに。その声に顔をあげ、少し思案したのち、やっと腰を上げた川合は玄関を開けたのです」(テレビ誌ライター)
この場面でなにより感心するのは、わずかな目や顔の動きで川合の感情を表現する永野の演技力だろう。コメディ色の強い「ハコヅメ」では変顔や全開の笑顔で新米警察官を好演している永野だが、時おり展開されるシリアスな場面では一転して、繊細な演技を披露。ミリ単位での目の動きや首の角度で川合の心を紡ぎ出す様子には、彼女がまだ21歳の若手女優だとはとても信じられないほどだ。
そして、そんな永野の演技を余すところなく映し出しているのが、本作を支える巧みな照明だという。
「今回の自室でふさぎ込む場面に加え、夜のシーンも少なくない『ハコヅメ』。暗い場面では演者の表情が分かりづらくなるケースも珍しくないのですが、『ハコヅメ』では暗さのなかでも演者の顔がしっかりと見えるという絶妙な照明テクニックが発揮されています。たとえば第4話で話題を呼んだ、一台のベッドで3人の婦人警官が雑魚寝するシーンもそのひとつ。第5話では酔いつぶれた藤を彼女の部屋に送り届けた川合が、照明を消したなか、机の上に置かれていた写真を見る場面もありました。これらのシーンで視聴者が《暗くてよく見えない》と不満を抱くこともなく、物語に没頭することが可能となっていたのです」(前出・テレビ誌ライター)
そんな照明術に加えて、川合らの心模様を描き出す劇伴(伴奏音楽)もまた、主張しすぎることなく場の雰囲気を的確に表している「ハコヅメ」。そういった裏方の確かな仕事が永野や戸田らの演技力と絡み合うことで、視聴者を惹きこむ物語が紡ぎ出されているのではないだろうか。
※トップ画像は永野芽郁公式インスタグラム(@mei_nagano0924official)より。