カーリング女子「ロコ・ソラーレ」、銀メダルを引き寄せるベストショットを放ったのは吉田夕梨花選手だった!?

 銀メダルを首からかけた笑顔は本当に晴れ晴れとしていたようだ。

 北京五輪のカーリング女子において、日本カーリング界で初となる銀メダルを獲得した日本代表チームの「ロコ・ソラーレ」。いまや日本中でおなじみの顔となったメンバーたちが明かした「最高のショット」に、カーリングの奥深さが表れていたようだ。

 銀メダルを獲得したメンバーたちは試合後の2月20日深夜、スポーツ情報番組「Going! Sports&News」(日本テレビ系)に現地からリモート出演。ここでリード(一番手)の吉田夕梨花選手の明かした「ベストショット」に注目が集まっているという。

 番組MCの上田晋也から「印象に残っているご自分のベストショットとかございますか?」と訊かれた夕梨花選手は、「準決勝スイス戦のラストエンド」と回答。するとスキップの藤澤五月選手がすかさず「夕梨花の時って相手の石を出せないんですけど、ズラすっていうショットが(できる)」と補足していた。

「夕梨花選手が挙げたのは、先行のスイスが置いたガードストーンを横にズラす《ウィック》というショットのこと。準決勝スイス戦の第10エンドでは、スイスが第一投で置いたガードをサイドラインまで10センチあるかないかのギリギリまでズラすスーパーショットをさく裂。スイスは第二投もセンターガードに置いてきましたが、それもサイドラインまで30センチほどのギリギリまで飛ばしていました。その《ウィック》の精度は、準決勝戦で神懸かり的なラストショットを決めていた藤澤選手に勝るとも劣らないものだったのです」(スポーツライター)

北京五輪で銀メダルを獲得した「ロコ・ソラーレ」。日本カーリング協会公式ツイッター(@japan_curling)より。

 カーリングには「ファイブロック」というルールがあり、先攻後攻合わせて5投目までは、ガードに置かれたストーンをサイドラインやバックラインに弾き出してはいけないという制限がある。もし弾き出してしまったら、弾き出されたストーンが元の場所に戻されてしまうので、その一投が無駄になってしまうという厳しいルールだ。

 ただしガードをズラすことは可能。そのためには自分のストーンを薄く当て、相手のストーンを少しだけ動かすという難しい技術が必要となる。その<ウィック>を夕梨花選手はスイス戦にて100%の確率で決めていたのである。

「夕梨花選手が第10エンドで立て続けに成功させた《ウィック》について、藤澤選手は『あれでもう勝ちがほぼ決まったようなものでした』と大絶賛。最終的には藤澤選手がラストショットで1点を決め、8対6で逃げ切った試合でしたが、そのラストストーンに至る流れを夕梨花選手がセットアップしたと絶賛していたのです」(前出・スポーツライター)

 そんな藤澤選手の言葉を補足するように、リザーブとしてチームを支えた石崎琴美選手は「リードからスキップまでショットが繋がんないとカーリングにならないので、全員良かったです」と説明。セカンドの鈴木夕湖選手とサードの吉田知那美選手を含めた4人全員で繋いだショットの集大成が銀メダルであったことを強調していた。

 良くも悪くも最後にストーンを投じる藤澤選手に注目が集まりがちなロコ・ソラーレだが、カーリングはチーム全員で作り上げていく競技。2014–15シーズン以降、不動のリードとしてチームを支える夕梨花選手のベストショットに、あらためて注目が集まっていきそうだ。

※トップ画像は平昌五輪より。