この才能、たとえ女優を目指さないにしても、何かの役に立つことは確実だろう。
2月21日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第78話では、ヒロインで高校3年生の大月ひなた(川栄李奈)が、女優の美咲すみれ(安達祐実)を感心させる姿が描かれた。
前回の第77話では、人気時代劇シリーズ「破天荒将軍」で姫役に起用されるも、あまりの棒演技で制作陣を困らせていた美咲。しかも茶席のシーンではひなたが茶杓の使い方に余計なアドバイスを入れてしまい、美咲を怒らせてしまっていた。
するとなぜか、大部屋俳優の卵である五十嵐(本郷奏多)との小芝居が始まることに。それは美咲がかつておゆみ役で出演していた「棗黍之丞」シリーズの名場面を再現したもので、その様子に美咲は機嫌を直したのだった。
「今回の第78話では演技を終えた美咲のところに、ひなたが謝りに行くことに。頭を下げるひなたが高三だと自己紹介すると、美咲は『変わってるのね。そんな若い子が黍之丞見てるなんて。セリフまで覚えるほど』と感心した様子でした。ひなたは、小芝居してみせた回は特別で印象に残っていると言いつつ、『おゆみちゃんが潔くて、侍みたいで』と説明。この“侍みたいで”という表現が、美咲の心に深く突き刺さっていたようです」(テレビ誌ライター)
美咲は自らのサインを入れた台本をひなたにプレゼント。それは美咲なりに感謝を示した形だったのだろう。そんなやり取りにおいて、ひなたの才能が示されていたというのである。
美咲が「セリフまで覚えるほど」と感心した場面では、ひなたと五十嵐が「棗黍之丞」シリーズを完全再現した様子が回想シーンとして挿入。そこでひなたは「黍さま。御無事でよかった」「ゆみは三国一の幸せ者でございます」といったセリフを完ぺきにそらんじていたのである。
「毎回繰り返される決めゼリフならともかく、ひなたがそらんじたセリフは一回限りで放送されたもの。しかもひなたが小学生の時ですから、家庭用ビデオデッキなどほとんど普及していなかった時代です。再放送くらいはあったかもしれませんが、テレビのセリフを一回聴いただけで完ぺきに覚えていたとは、ひなたの尋常ではない記憶力を示していると言えるでしょう」(前出・テレビ誌ライター)
ひなたが小学生だった昭和51年当時、すでに家庭用ビデオデッキはあったものの、当時の価格で30万円近くもする非常に高価な代物だった。大月家の茶の間にもビデオデッキが置かれている様子はなく、それでもひなたは時代劇でのセリフを丸々覚えていたのである。
「勉強のほうはさほどでもない様子のひなたですが、セリフを覚えるのはまた別の才能。どうやら彼女にはその場ですぐにセリフを覚えられる能力が備わっていそうです。ひなたが女優を目指すなら、その能力が大いなるアドバンテージになることは確実。制作側の仕事に就く場合でも同様に役に立つことでしょう。どうやらひなたには、条映撮影所での仕事が相当向いていそうですね」(前出・テレビ誌ライター)
知ってか知らずか撮影所向きの才能を備えていたひなた。人の適性は意外なところに現れるようだ。