そのラストシーンに、多くの視聴者が引き込まれていたようだ。
4月4日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第108話では、岡山にて開催されるジャズのクリスマスコンサートを前に、シンガーとして出演する大月るい(深津絵里)が相当緊張している様子が描かれた。
岡山出身のるいは、同じく岡山出身のトランぺッター・錠一郎(オダギリジョー)と大阪で出会い、やがて結婚。ジョーがトランペットを吹けなくなる病気を患うも、二人は京都で回転焼きの店を始め、二人の子どもにも恵まれて幸せな生活を送っていた。だが、6歳の時に生き別れとなった母親・安子(上白石萌音)のことは今でも気がかりのままだ。
一方、るいの娘でヒロインの大月ひなた(川栄李奈)は、京都の条映太秦映画村に勤務。その条映ではハリウッド映画「サムライベースボール」の制作に協力しており、いよいよ翌2004年の1月に日米同時公開を控える時期となっていた。
「サムライベースボールの制作陣には、キャスティングディレクターとして日系アメリカ人のアニー・ヒラカワ(森山良子)が参加。何度となく来日していましたが、そのアニーが実は安子なのではないかと、視聴者のあいだでは大きな論争となっています。アニーという名前が安子に由来しているとの推測に加え、彼女はどうやら岡山に縁がありそうな様子。SNSでのやり取りを見ていると《アニー=安子》と考える視聴者のほうが多いようですね」(テレビ誌ライター)
この論争について、4月1日付「スポーツ報知」の記事によると、本ドラマの制作統括を務める堀之内礼二郎氏は「ちゃんと回収されます。すっきり描かれます」と明言していたという。
今回を含めて残り5話まで来た本作だが、第108話のラストではいきなり“回収”の発端が描かれたというのだ。
「映画のプロモーションで来日中のアニーは、大阪のラジオ局を訪問。本作の視聴者にはすっかりおなじみとなった名物ラジオパーソナリティー・磯村吟(浜村淳)のラジオ番組に出演しました。ここで磯村から『アニーさんは1925年、シアトルで生まれた日系アメリカ人』との来歴が明かされたのです。彼女がシアトル生まれなのであれば、岡山出身の安子とは明らかに別人。これぞ堀之内氏が語った《すっきり描かれます》の一端なのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)
アニーが生まれたシアトルは、安子が渡米の際に頼った進駐軍将校・ロバートの故郷でもある。しかも1925年(大正14年)生まれなら安子とは同い年であり、アニーと安子が友人だったとの考察を裏付ける情報となりえるのだ。
それに加えてアニーがシアトル生まれと分かったことで、これまで彼女について噂されてきた考察もまた、信ぴょう性を増してきたというのである。
「視聴者の一部からはアニーが、ラジオ英会話『カムカム英語』の創始者である平川唯一氏の係累ではないかと指摘されていました。その平川氏は岡山の農家出身で、先にアメリカに渡ってきた父親を頼って1918年に渡米。シアトルで小学校と高校を卒業し、1931年には同地の名門・ワシントン大学を卒業しています。ただ平川氏に関してはその後、子息を伴って帰国したことが知られているので、アニーが平川氏の娘ということはありえません。一方で平川氏は兄と一緒に渡米していたので、アニーが平川氏の姪という筋書きなら成り立つのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
果たしてアニーは平川氏の姪なのか、そして安子とは友人関係だったのか。そもそも安子本人は未だに存命なのかも含めて、残り4回の放送でどこまで回収されるのか。視聴者も気が気でならないことだろう。