【カムカムエヴリバディ】結婚、改名、大学…渡米後の安子=アニーが送っていた生活とは?

 50年前は、現代と様々な事情が異なっていたようだ。

 4月5日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第109話にて、その正体がかつての雉真安子だったことが判明したアニー・ヒラカワ(森山良子)。大月るい(深津絵里)の母親であり、大月ひなた(川栄李奈)の祖母にあたるアニーは、実の娘に会わぬまま日本を発とうとしていた。

 それまではシアトル生まれの日系2世と偽っていたが、実は岡山生まれの日本人であることが判明。大正14年(1925年)生まれの安子は昭和26年(1951年)にアメリカへと渡り、紆余曲折を経てハリウッドのキャスティングディレクターとなっていたようだ。

 そんな安子=アニーのアメリカ生活が、残り3回となった作中でどこまで描かれるのか。ここまで判明している情報をもとに、彼女のアメリカ生活について推測してみたい。

【結婚、改名】

 日本では雉真安子(演・上白石萌音)だった彼女が、どのようにしてアニー・ヒラカワとなったのか。

 まずヒラカワという姓については、アメリカで再婚した夫の姓である可能性が第109話にて示された。彼女が昭和14年に後の夫(雉真稔)と映画を観たとの思い出を明かした際に、ラジオパーソナリティーの磯村吟(浜村淳)が「アニーさんのご主人と言いますと、戦後シアトルの大学で教鞭をとられていた…」と語っていたもの。そのご主人がおそらく「ヒラカワ」さんだったのだろう。

 そもそもは進駐軍将校のロバート・ローズウッド(村雨辰剛)と再婚する前提で渡米していたが、ローズウッド姓になっていないことから、ロバートとの関係がどうなったのかは現時点では不明。この辺は残り3回の中で描かれるのかもしれない。

ロバートと共に渡米した安子。この建物は最新回でクリスマスコンサートを催した岡山偕行社だ。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター(@asadora_bk_nhk)より。

 一方でアニーという名前だが、こちらはニックネームではなく、おそらくアメリカでの本名だと思われる。映画「サムライベースボール」では条映とコラボしており、日本側にはホテルの予約等でパスポートに記載された本名を伝える必要があるはず。その際、本名が「YASUKO」であれば、ひなたに知られていたはずだ。

 しかしアニーが安子(あんことも呼ばれていた)に由来するとは言え、なぜそれが本名になるのか。実は外国人がアメリカで結婚したり帰化する際には、アメリカで名乗る名前を届け出ることになっている。この場合、母国での本名通りである必要はなく、安子が自分の名前をアニーだと申告すれば、それがアメリカでの本名になるのである。

 なお作中ではアニーの表記に「Anny」と「Annie」の揺れが生じている。「サムライベースボール」出演者オーディションのチラシでは「Anny」になっているのに対し、英会話の字幕では「Annie」と表記されているもの。ここはチラシのほうが正解なのかもしれない。

【大学】

 アメリカではシアトルのワシントン州立大学で演劇を専攻したというアニー。これは同じ苗字を持ち、戦後に「カムカム英語」で活躍した平川唯一氏が、16歳で渡米した後に苦学の末、ワシントン大学で演劇を修めたことへのオマージュではないだろうか。

 なおワシントン州には、ワシントン大学(University of Washington)とワシントン州立大学(Washington State University)の両方があり、シアトルに本部を置くのはワシントン大学のほう。ここは現地の人にとって間違えてもらっては困るところだろう。

日本人留学生も多いワシントン大学は、美しい桜並木でも知られている。

 ちなみに安子は高等小学校卒で、現在の学制では中学2年生修了相当となる。これはアメリカの小学校(8年制)と同じ年限なので、もともと英語力の高かった安子の場合、26歳での渡米後にすぐ高校(ハイスクール、4年制)に入学できた可能性もありそうだ。

 すると30歳で大学に入学した計算となるが、アメリカでは今も昔も成人後に大学に通うケースは珍しくない。どうやらアニー(安子)はシアトルで、遅い青春を謳歌していたのかもしれない。