【ちむどんどん】「上等」に「インチキ」!なにげない沖縄弁が可愛い!

 それも沖縄弁だったのか! 驚く視聴者も少なくないことだろう。

 2022年上期のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」がいよいよ4月11日にスタート。第1回ではヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜)の小学生時代が描かれた。

 沖縄本島北部の「やんばる」(山原)と呼ばれる山深い地域に住む小学5年生の暢子(稲垣来泉)は4人きょうだいの次女。小さいころから食べることが大好きで、小学校には自分の好きな食べ物について書き貯めた「おいしいものノート」を持参しているという食いしん坊だ。

 そんな暢子は冒頭、海に面した崖の上に立つシークワサーの実を取ろうと奮闘。まだ背が小さいのでジャンプしても届かないが、彼女いわく「世界で一番」美味しいという実を父親の賢三(大森南朋)がもいであげていた。

 すると暢子は、学校で女らしくないと言われているとの悩みを吐露。賢三は言いたいヤツには言わせておけばいいと語りつつ、「暢子は暢子のままで上等」と言い聞かせたのであった。

「このセリフ、とくに注釈などはありませんでしたが、この『上等』は沖縄ならではの褒め言葉なのです。良い、カッコいい、可愛いなどと様々な意味があり、相手の行動や性格を褒める時にも使います。ここでは父親の賢三が娘の暢子に対し、自分らしくあることが一番だと、彼女の個性を認めてあげていたワケです」(沖縄マニアのライター)

 この「上等」はウチナーヤマトグチ(沖縄大和口)における語彙の一つ。いわゆる標準語にも同じ言葉があるものの、微妙に意味が異なるところが特徴となっている。

 本ドラマのタイトル「ちむどんどん」も、漢字で書くと「肝どんどん」となる。この「肝」は肝臓のことではなく、心臓のこと。その意味は第1回の終盤で姉の良子(土屋希乃)が「心がドキドキすること」と説明していた通りだ。

第1回では暢子がまだ小五だった昭和39年(1964年)の山原村が描かれていた。朝ドラ「ちむどんどん」公式ツイッター(@asadora_nhk)より。。

「家族で食事するシーンではゴーヤチャンプルーの取り合いとなり、ここで良子は『インチキ!』と文句をつけていました。これもウチナーヤマトグチのひとつで、“ズルい”や“不公平”といった意味。自分にとって不利益な状態を指す言葉であり、おかずを取られそうになった良子がそう言ったのも納得ですね」(前出・ライター)

 そんなウチナーヤマトグチが端々に出てくる一方で、旧来の琉球方言も話される「ちむどんどん」。序盤で父親の賢三が暢子に言った「まくとぅそーけー なんくるないさ」という言葉は、沖縄弁として広く知られる「なんくるないさ」の、いわばフルバージョンと言える定型句だ。

 まくとぅそーけーの“まくとぅ”とは「誠」のこと。「誠のこと(正しいこと)をしていれば」といった意味で、全体の意味は賢三が言ったように「正しいと信じて筋を通せば 答えは必ず見つかるからよ(なんとかなる)」となる。

 そんな沖縄ならではの言葉がどんどん飛び出る「ちむどんどん」。第2回以降もそんな上等なシーンを楽しむことができそうだ。