沖縄旅行の機会があったら、ぜひ確かめてみてはいかがだろうか。
4月11日にスタートした2022年前期のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」。沖縄本島北部の山深い「やんばる」(山原)地域を舞台に、食べることの大好きなヒロイン・比嘉暢子が成長していく姿を描く作品だ。
その第1回は冒頭、沖縄の美しいサンゴに彩られた海岸から始まり、次いで荒々しいバンタ(崖)が映し出されることに。バンタの上には一人の少女が佇んでおり、シークワサーの樹から身を一つもぎ取り、その匂いを存分に嗅いでいた。
その少女はヒロインの暢子(黒島結菜)。すると場面は7年前の昭和39年(1964年)へと移り変わり、暢子は小学5年生の姿(稲垣来泉)に。先ほどまでは手が届きそうだったシークワサーの実が、いくらジャンプしても届かない高さとなっていたのであった。
「ヒロインの自宅がやんばる地区ということもあり、本作では沖縄の豊かな自然がたっぷりと映し出されています。時代が返還前とあって、道端でパイナップルを売るおばあたちが『1$』と値付けしているなど、当時の世相も反映。東京から来た親子が乗っていたバスも左ハンドルで、時代を感じさせる演出となっています」(沖縄マニアのライター)
そんな「ちむどんどん」のオープニング映像は、実写映像をアニメ化したかのような映像表現が特徴。シークワーサーが青々と成る様や、お盆の送り火でうちかび(あの世のお金)を燃やす様子など、沖縄らしい場面が次々と現れる。
石垣の上から羽ばたいていく蝶は、2年前に沖縄の県蝶として制定された「オオゴマダラ」だろうか。翅に赤い縁取りがあるところがオオゴマダラと異なっているが、これは陽が当たっている様を描いているのかもしれない。
「沖縄そばの映像を挟んで、次の場面ではいかにも南国らしい花がだんだんと咲いていく様子が描かれています。多くの人はこれをハイビスカスだと思っていることでしょうが、それは勘違い。この花は沖縄で街路樹として一般的な『ホウオウボク』(鳳凰木)に違いありません。その特徴は花から何本も突き出た雄しべと雌しべ。ハイビスカスでは中心に1本だけ突き出るので、外見が大きく異なるのです。沖縄というとハイビスカスをイメージしがちですが、著名観光地の国際通りで赤い花を咲かせているのもホウオウボク。沖縄ではそこらじゅうで観ることができるので、観光や仕事で行かれる方はぜひ確認してみてはいかがでしょうか」(前出・ライター)
ちなみに沖縄の県花は、これまた赤い花が咲き乱れるデイゴ。デイゴの花は細長い花弁が円を描くように咲くのが特徴で、ホウオウボクとはまったく異なる形となっている。
ともあれ沖縄でホウオウボクの花を見れば、ますます「ちむどんどん」な気分に浸れるのは確実ではないだろうか。