【ちむどんどん】暢子は食に人生を捧げる?「カムカムエヴリバディ」ひなたに通じるヒロイン像とは

 東京に出るであろう彼女の姿に、前作のヒロインを重ね合わせた人もいたのではないだろうか。

 4月11日にスタートしたNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」が、15日の第5話で一週目の放送を終えた。ここまではヒロイン比嘉暢子の小学生時代が描かれており、暢子を演じるのは小学6年生の稲垣来泉だ。未だヒロイン役の黒島結菜は出演していないものの、第5話のラストに映し出された予告動画の「これからのちむどんどん」には高校生になった暢子の姿も。どうやら4月18日からの第二週には黒島も登場しそうな雰囲気を感じさせた。

 そんな暢子は食べるのが大好き。第5話では大学教授の青柳史彦(戸次重幸)が比嘉家を那覇のレストランに招待し、暢子ら4きょうだいは人生初の洋食に感動した様子だった。真っ白なコックコートを着たシェフの姿を見て、料理人に憧れる暢子。そんな彼女の姿に、朝ドラ前作の「カムカムエヴリバディ」を想起する視聴者も少なくなかったという。

「『カムカムエヴリバディ』には母娘3代にわたる3人のヒロインが登場するなか、子ども時代からヒロインとして登場していたのは孫のひなた(川栄李奈)だけでした。その幼少時を演じたのは2010年5月生まれの新津ちせで、くしくも暢子役の稲垣(2011年1月生まれ)とは同級生。しかも二人とも小学生の時点で、自分の将来を予感させる個性を発揮していたのです」(女性誌ライター)

那覇のレストランで初めて食べる洋食に目を輝かせる暢子。ドラマ「ちむどんどん」公式ツイッター(@asadora_nhk)より。

 食べるのが大好きで、まだ見ぬ東京に憧れを持つ暢子は、ディナーの席で父親の賢三(大森南朋)に向かって「東京に行ってみたい」との希望を口にしていた。かたやひなたは小学生のころから大の時代劇好き。2月3日放送の「カムカムエヴリバディ」第66回では、人気時代劇俳優・桃山剣之介のサイン会に参加し、桃山に対して「侍になりたい」との希望を口にしていたものだ。

 さすがに侍になることは叶わなかったものの、侍が主役の時代劇を制作する条映太秦映画村に就職することになったひなた。暢子もひなたも子供のころからの夢を叶える形になるようだが、そんな二人の生き方が別の面でもシンクロするかどうかに、視聴者の興味が向いているという。

モモケンのサイン会で「侍になりたい」との夢を語っていたひなた。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター(@asadora_bk_nhk)より。

「ひなたの祖母・安子(上白石萌音/森山良子)と母親のるい(深津絵里)は、二人とも十代で結婚し、若くして子供を産みました。昭和10年~30年代にはそれがごく普通の生き方でしたが、昭和40年(1965年)生まれのひなたは作中でついぞ、結婚することも出産することもなかったのです。母娘3代にわたる物語において、その生き方で時代を反映した多様性を体現していたひなた。そんなひなたの人生が『ちむどんどん』の暢子でもトレースされるのではないかと考える視聴者もいるようです」(前出・女性誌ライター)

 現時点で暢子は、東京から来た青柳教授の息子で中学生の和彦(田中奏生)に興味がある様子。小学生ゆえまだ恋愛感情と呼べるものではなさそうだが、番組の公式サイトでは上京した暢子が、アメリカ留学を経て新聞記者になっていた和彦(宮沢氷魚)に出会うことが説明されている。

 果たして二人は恋愛関係へと発展するのか、恋の予感も感じさせるところだろう。その一方で、暢子には暢子なりの生き方がありえるとの声もあるという。

「いずれは自分のレストランを持つであろう暢子。そんな彼女の人生には、ひなたが20年近くを映画村職員として過ごしたのちにアメリカに留学し、ハリウッドでキャスティングディレクターになっていった生き方が反映されるような気がするのです。もちろんまったく別の作品なので影響を受けるということはないにせよ、多様性が重視される令和の時代に制作されたドラマとしての共通性があっても不思議はありません」(前出・女性誌ライター)

 その場合に暢子と和彦は、「カムカムエヴリバディ」でひなたと文四郎(本郷奏多)がたどった運命をなぞることになるのか。昭和28年度生まれの暢子は昭和40年生まれのひなたより12歳年上で、むしろ昭和19年生まれのるいに近い世代だが、果たして暢子の人生はひなたとるいのどちらに似るのか。視聴者としても注目のポイントが増えたのではないだろうか。