その無邪気な指摘は、彼女の心をどれほど傷つけていたのだろうか。
4月26日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第12回では、比嘉家の長女・良子(川口春奈)が大学時代の勉強会仲間たちとハンバーガー店で歓談する様子が描かれた。
良子らが集ったのは山原村からバスで30分ほどの距離にある、新しくオープンしたばかりのハンバーガー店。陽気なマスター(川田広樹)はすでに、石川博夫(山田裕貴)と顔見知りの様子だ。
その博夫は勉強会仲間だった東江里美(松田るか)と、那覇の大学で同級生だった様子。二人は同じ名護の学校に教師として赴任してきたそうで、しかも里美は博夫に気があるそぶりを見せていた。その勉強会仲間で良子は唯一の短大卒であり、博夫は良子の2学年先輩のようだ。
「都会の那覇で生まれ育った博夫にとって、北部の名護はかなりの田舎に映っている様子。『初めはいろいろ驚いたけど、いまは毎日刺激的で楽しいよ』と、いかにも都会から来た風の感想を口にしていました。里美もおそらく那覇など南部の出身らしく、服装も緑色のおしゃれなワンピースが目立っています。対照的に良子は飾り気のない白ブラウスと紺スカート。胸のポケットにはほつれを縫った跡があり、里美は『良子なんで? ここ目立つ!』と無邪気に指摘していました」(テレビ誌ライター)
里美の指摘に、子供たちに汚されるから汚れてもいい物を着ていると答えた良子。しかし父親が借金を遺して早くに亡くなり、4人きょうだいの長男は働きもせずにブラブラしている良子には、新品のブラウスを買う余裕もないはず。里美のイノセントな指摘は良子の心に深く突き刺さったことだろう。
そんな良子は博夫に淡い恋心を抱いている様子。博夫から貸してもらった本の感想を手紙で送っており、その話題に博夫もずいぶんと嬉しそうだ。
だが都会育ちの博夫と、田舎育ちの良子が果たしてうまくいくのか。博夫は「また一緒に来よう」とハンバーガーデートに誘っていたが、良子にとってこの店は、相当敷居が高いというのである。
「チラっと映ったメニューには、ハンバーガーの値段が60セントと記載されていました。良子たちはコーラも一緒に頼んでいたので、おそらく80セントは払ったはず。この昭和46年(1971年)当時にはバス代が7セントでしたから、現在の感覚だと1500円~2000円ほどに相当するでしょうか。都会育ちの博夫たちにはちょっと奮発した程度かもしれませんが、良子にとっては本来なら目が飛び出るような値段だったに違いありません」(前出・テレビ誌ライター)
前週の放送では良子の母親・優子(仲間由紀恵)が工事現場で力仕事をして、日当が1ドルに過ぎなかった。そこから7年経って物価は数割ほど高くなっているものの、それでも80セントのハンバーガーデートが相当高くつく代物であることには変わりはない。
前日の放送から時代が昭和46年へと移り変わり、比嘉家の借金については現在の状況が不明なものの、良子が自分の給料からいくばくかを家に入れていることは明かされている。良子が抱く博夫への淡い恋心は果たして成就するのだろうか。
「そんな良子には、地元の製糖工場の息子である喜納金吾(渡辺大知)が片思い。花束を手に良子の勤務先である小学校に押しかけてくるほどのガッツを見せています。金吾の家は村でも有数の裕福な家で、その跡取りとなれば将来は安泰。良子は金吾のことを嫌っている様子ですが、結局は村育ち同士で気が合うという展開も十分に有り得そうです」(前出・テレビ誌ライター)
ハンバーガーが結ぶ恋と、砂糖が後押しする片思い。果たして良子の未来はどっちに転がるのだろうか。