【ちむどんどん】同僚が見舞いに来た歌子に「その男とくっつくな!」の声があがるワケ

 果たして彼女はどちらの幸せを追い求めるのだろうか?

 6月8日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第43回では、運送会社の新人社員となった比嘉歌子(上白石萌歌)が、熱を出して自宅で静養している姿が描かれた。

 子供のころから身体が弱く、すぐに熱を出しがちな歌子。前日には会社を休んでいたようで、母親の優子(仲間由紀恵)は「今日も休みなさい」と諭すが、歌子は「これ以上休んだら会社にも迷惑だし」と、これ以上の病欠を避けたい様子だ。

 すると会社の同僚である花城真一(細田善彦)がお見舞いで来訪。寝床の横にまで来るなど、人見知りの歌子にしてはずいぶんと真一に心を許しているようだった。

「真一は『このあいだ歌ってたから』と言いながら、芸能雑誌『音星』の最新号を手渡しました。沖縄の片田舎である山原村では雑誌もなかなか手に入らないでしょうから、歌子は笑顔で『いいんですか?』と大喜び。すると真一が真っ直ぐな目で歌子を見ながら『思ったより元気そうでよかったよ』と体調を気遣うことに。さらには姉の良子(川口春奈)から会社での様子を訊かれると『僕も歌子さんがいないと寂しくて』と答え、歌子をドギマギさせていたのです」(テレビ誌ライター)

真一からもらった「音星」に歌子は喜びの表情を見せていた。トップ画像ともに©NHK

 そんな歌子の様子に、視聴者からは<真一とくっついて幸せになってほしい>と応援の声が続出。もともと幼馴染の砂川智(前田公輝)に恋心を抱いていた歌子だが、上京した智は姉でヒロインの暢子(黒島結菜)に惚れている様子。それなら智への想いなど振り切って、実直そうな真一と結ばれたほうが幸せになれるということだろう。

 その真一は2日前の第41回でも、会社の給湯室で歌子が「翼をください」を歌っているところに入ってきては「いい声だね」「また聴かせてね」と声を掛けていた。この様子なら相思相愛の可能性も十分にありそうだ。

 だが一部の視聴者からは、歌子に対して<その男とくっつくな!>との声もあがっているというのである。

「その理由は、ひとつには『ちむどんどん』に登場する男性がダメ男ばかりだということ。長男の賢秀(竜星涼)はもちろんのこと、良子と結婚した小学校教員の石川博夫(山田裕貴)も、旧来の家族観にとらわれた“女は家を守る”的な考えの持ち主でした。それゆえ人の好さそうな真一とくっついたところで、離婚を決意した良子の二の舞になりかねないということです」(前出・テレビ誌ライター)

 そしてもう一つの理由は、真一からもらった芸能雑誌の「音星」を歌子が愛おしそうに抱きしめていたことだ。就職前には東京のレコード会社が主催した新人発掘オーディションに挑戦し、予選を突破していた歌子。最終審査では体調不良で倒れたことにより失格となっていたが、その後も挑戦し続けることを姉の暢子には宣言していた。

 会社の給湯室で歌っていた「翼をください」は、オーディションの予選でも披露した曲。翼を得て大空に羽ばたきたいとの歌詞は、歌子の心情にマッチしているに違いない。

「ここで真一と結婚してしまったら、東京に出て歌手になるという夢を実現するのはまず無理になることでしょう。しかし視聴者の多くは彼女が大好きな歌で成功してほしいと願っているはず。それゆえ真一はあくまで、歌子が歌手になるきっかけを与えてくれたという立ち位置でいてほしいわけです」(前出・テレビ誌ライター)

 真一がくれた「音星」は、昭和40~50年代の歌手志望者がこぞって読んでいた実在の芸能雑誌「明星」をモチーフにしたもの。当時の明星にはオーディションの情報も多数掲載されていたものだ。

 それゆえ歌子が「音星」をキッカケにオーディションを受ければ、それは真一のおかげということになる。もしかしたら歌子にとって、運送会社に勤めたこと自体が人生の大きな転機に繋がっていくのかもしれない。