【ちむどんどん】「私たちの田良島デスクに何を言わせる!」おちゃらけた演技に視聴者が激怒!!

 せっかく良いことを言ったのに、余計なひと言ですべてが台無しに。視聴者はそんな悪例を見た思いだったことだろう。

 7月4日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第61回では、東洋新聞記者の大野愛(飯豊まりえ)が、仕事と結婚のはざまで悩む姿が描かれた。その愛にアドバイスを授けた田良島デスク(山中崇)を巡って、視聴者から異論が噴出したというのである。

 同僚で恋人でもある青柳和彦(宮沢氷魚)との交際も長くなり、裕福な両親からは和彦と早く結婚するように迫られている愛。物語の舞台が昭和53年春のなか、父親からの電話で愛は、11月の大安に結婚式場を勝手に押さえられたことを知ったのだった。

 しかも愛は就職の際、結婚したら仕事を辞め、両親に孫を見せる約束もしていたという。そんな電話に困っていた愛のもとに、同じ学芸部で上司の田良島デスクが声を掛けてきた。

「田良島デスクは、愛が提出していた大型企画のプラン『シリーズ 変わりゆく日本と世界「女性のファッションと社会進出」』が、最終選考まで残ったことを告げました。翌週までに狙いを明確にして出し直すことを命じたうえで、愛の仕事ぶりについて『「これは大野にしか書けない」と思わせる仕事には恵まれてこなかった』と評したのです」(テレビ誌ライター)

 その言葉に愛が、結果を残せていないのは自分の力不足だと語ると、田良島デスクは「諦めるのか、自分の幸せを?」と質問。「幸せ?」と聞き返す愛に対し、「幸せは結果ではない。ワクワクして夢に向かって頑張る時間。それが幸せってもんじゃないのか」との持論を口にしたのであった。

 さらに田良島デスクは「指くわえて待ってても、幸せは訪れない」と断言。この言葉は、愛が和彦との結婚に悩んでいることを見抜いたうえで、人生の先輩としてのアドバイスを授けたものだったのかもしれない。

田良島デスクの言葉が響いていた様子だった大野愛。トップ画像ともに©NHK

「田良島は学芸部のデスクとして、部下の和彦や愛を熱く指導してきました。時には若者らしく暴走する和彦の想いを受け止め、自ら会社の上層部に楯突いてみせるなど、理想の上司像を体現していたのです。そんな彼は視聴者人気も高く、今回も《田良島さん、すべてお見通し!》《いいこと言ってるなあ》といった声があがることに。ところがそんな名アドバイスを、続くセリフで台無しにしてしまったのです」(前出・テレビ誌ライター)

 田良島デスクはひと通りしゃべったあとで突如、「あれ、俺ちょっといいこと言っちゃった? 恥ずかしい~」とおちゃらけることに。しかもぶりっ子ポーズのように手を口に当てながらおどけるという、それまで見せたことのない姿をさらしていた。

 この場面に視聴者からは疑問と怒りの声が殺到。<いやいや寒いから><演技が上滑りしている>といった声に加えて、<私たちの田良島デスクに何を言わせちゃってるの!?>という批判も浴びせられることに。なかには制作陣に対して<いいセリフ書いちゃった!という自意識を田良島さんに言わせるのやめてほしい>との声もあがっていたのである。

「出てくるキャラクターのほとんどがろくでなしの本作において、田良島デスクは数少ないまともな人物であり、多くのファンを獲得していました。そんな《ちむどんどんの良心》とさえ言える彼になぜ、こんな無駄な演技をさせたのか。この場面では制作側の発想が昭和流の“足し算の演出”で止まっているのではと感じましたね。令和のドラマではミニマムな表現で心象風景を描くのが主流のなか、まるで昭和の陳腐なホームドラマを見せられたような思いです」(前出・テレビ誌ライター)

 いくら物語の舞台が昭和50年代だからと言って、演出まで当時の流儀に沿う必要はないはず。この場面で愛は自分の力不足を嘆いていたが、本当に力不足なのは誰なのか。視聴者も首をひねったのではないだろうか。