【テッパチ!】白石麻衣が持ってきた「お誕生日ケーキ」に込められた“こだわり”とは!

 ちょっとした小道具に、小憎いリアリティが込められていたようだ。

 7月20日放送のドラマ「テッパチ!」(フジテレビ系)第3話では、自衛隊候補生の武藤一哉(一ノ瀬颯)が仲間たちから二十歳の誕生日を祝ってもらうシーンがフィナーレとなっていた。

 武藤は子供のころから父親のDV被害に遭っており、一度は包丁を手に父親を刺そうとしたものの、逆に組み伏せられて肩甲骨付近に大きな刺し傷を負っていた過去が明かされた。

 両親の離婚後には児童養護施設に入るも周りとは馴染めず、高校卒業後に就職した工場も辞めることに。そんなある日、誰かの役に立ちたいとの思いから自衛隊入隊を希望するも、その経歴ゆえ武藤を受けいれるかどうかが議論されたのである。

「武藤の入隊を主張したのは、教育隊で中隊長を務める八女純一3佐(北村一輝)でした。八女は建設現場をクビになった主人公の国生宙(町田啓太)に声を掛けるなど、自らのスカウトで例年より多めの候補生を確保。実績をあげることで、元の所属だった第一空挺団のような精鋭部隊に返り咲くことが狙いでした。しかし一方では宙たち候補生に、熱い想いを持った自衛官に育ってほしいと心から願っている面もあったのです」(テレビ誌ライター)

 射撃訓練では教官の叱責によりDVがフラッシュバックし、暴れてしまった武藤。他の候補生とも馴染めず、ついには脱走を決意する。しかし宙に見つかり、武藤の事情を知った宙は候補生仲間たちを集め、全員で宙を1時間にわたって責め続ける“訓練”を行うことになった。

 仲間たちからの罵詈雑言を受けつつ、必死になって耐える武藤。途中で桜庭冬美教官(白石麻衣)が異変に気付くも、訓練だと知って見守ることになった。すると八女も武道場を通りかかり、一緒に“訓練”を見守ることに。ついに武藤は一時間の訓練に耐え抜き、候補生第1班は真の仲間へと成長したのだった。

「そんな候補生たちを呼び出した八女は、冬美にケーキを持ってこさせました。この日は武藤にとって二十歳の誕生日で、サプライズでお祝いしたのです。生まれて初めて誕生日を祝ってもらった武藤は大感激。それまで見せたことのなかった笑顔となり、仲間の絆は大いに深まりました」(前出・テレビ誌ライター)

冬美が持ってきた誕生日ケーキ。わざわざ大皿に載せているところにも意味があったようだ。トップ画像ともに©フジテレビ

 ただこの感動シーンに、一部の視聴者からは疑問の声が寄せられていたという。八女は候補生たちの訓練を見守ったあと、候補生の馬場良成(佐野勇斗)に「手を貸してくれないか」と依頼。どうやらこの時点で武藤の誕生日をお祝いしようと考えたのだろう。

 しかし訓練が始まった時点ですでに日は暮れており、1時間の訓練がおわったころには午後8時は過ぎていたはず。いくら東京都内の駐屯地が舞台とは言え、その時間から誕生日用のホールケーキを用意するのは不可能だ。これはさすがに「考証ミス」ではないだろうか。

「その点はちゃんと考慮されていました。冬美が持ってきたケーキはパッと見にはホールに見えますが、実は最初から8分割されており、それぞれのカットケーキには台紙のアルミ箔が付いていました。つまりこのお誕生日ケーキはショートケーキ8個を円形に並べたものだったのです。単なるショートケーキであればコンビニでも購入できますし、夜になってから用意することも可能でしょう」(女性誌ライター)

 神は細部に宿るというが、こういったちょっとしたディテールにこだわるだけで、ドラマのリアリティや説得力はぐっと向上するもの。防衛省全面協力の本作では「自衛隊らしさ」が存分に描かれるなか、自衛隊とは直接関係しない部分にもこだわる姿勢には拍手を送りたいところだろう。