【ちむどんどん】房子に大人の味方は現れず?銀座に店を出せた経歴が未だに謎だった!

 三郎以外に頼るべき人物はいないのか。筋書きありきの設定に違和感を抱く視聴者も少なくないようだ。

 8月4日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第84回では、東京・銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」を経営するオーナーの大城房子(原田美枝子)が、ヒロインで従業員の比嘉暢子(黒島結菜)に若き日の思い出を語る場面が描かれた。

 沖縄出身の両親の元、横浜・鶴見で生まれた房子。彼女の昔語りによると母親は病気で亡くなり、父親は工場での事故により早くに亡くなっていたことから、妹は鶴見の知り合いに預けられ、房子は日本料理屋で住み込みの下働きをしていたという。

 必死に修行した房子は何年かして小さな屋台を持つこととなり、戦争の前には妹を引き取ることに。そのころ乱暴な客に絡まれるも、平良三郎(片岡鶴太郎)に助けられ、お互いに一目惚れ。だが三郎の父親は沖縄県人会のなかでも中心的な人物で、事業でも成功した大立者ゆえ、実業家の御曹司と屋台の女将では釣り合うわけがないと周囲から大反対されたという。

 三郎は結局、県人会の中でも家柄のいいお嬢さんだった多江(長野里美)と見合いして結婚。三郎の親戚が房子に手切れ金を渡し、房子は県人会を飛び出して料理屋を開くことになった。

「三郎の周囲は房子との恋仲について《住む世界が違う》と反対。これは沖縄出身の暢子と新聞記者・青柳和彦(宮沢氷魚)との結婚に、和彦の母親・重子(鈴木保奈美)が《住む世界が違う》として反対していることとの対比でしょう。しかし暢子と和彦のような何ら共通点のない二人とは異なり、三郎と房子は同じ沖縄二世であり、鶴見の沖縄県人会に所属する仲間だったはず。本来なら助け合う立場なのに、なぜ房子のことをそこまで貶めるのか、なんとも謎ですね」(テレビ誌ライター)

姪孫でもある暢子に自らの過去を語る房子。トップ画像ともに©NHK

 そんな不自然な設定は、フォンターナを巡って進行している事件でも見え隠れしていた。元従業員が持ち出した権利書を手に入れた“月島のスッポン”こと権田正造(利重剛)は、その権利書を1000万円で買い取るように要求。房子が断ると、店に対して様々な嫌がらせを続け、フォンターナは臨時休店に追い込まれていた。

 弁護士や警察も当てにならず、権田の好きなようにされているフォンターナ。第84回での展開を見るに、おそらく三郎や鶴見沖縄県人会が助けに入るような雰囲気だが、そもそも誰もフォンターナを助けようとしない現状が不自然だというのである。

「5月16日放送の第26回では、雑誌に掲載されたフォンターナの紹介文にオーナーの経歴が載っていました。それによるとフォンターナはイタリアの日本大使館で修業した房子が帰国後に開店し、今では著名人や政治家がお忍びで通うほどの名店として名声を響かせているとか。しかし房子はそもそもフォンターナをどうやって開店できたのか。開業資金の問題はもちろん、それなりの人物が保証人にならないことには銀座の一等地に店を構えることなどできるはずもありません。逆に言えば房子にはすでに後ろ盾となる人物がいるはず。今回の権利書問題に関しては誰よりもまず、その保証人を頼るべきでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

 銀座で二階建ての建物を占有するほどの料理店をオープンするとなると、現在の基準なら億単位の資金が必要。しかも銀座で開業するなら保証人にもかなりの地位の人物が求められる。その条件をクリアできている段階で、房子には「権利書問題で頼れる人物」がいてしかるべきだ。それにフォンターナは著名人や政治家が集うサロン的な役割も果たしているのだから、「店を守ろう!」という人物が現れないのも不自然な話だろう。

 しかも房子は未だに鶴見の沖縄県人会とは疎遠のはず。それがなぜ、もはや県人会会長の三郎しか頼るべき人物がいないように描かれているのか。あまりにご都合主義の筋書きに、視聴者も物語に没入できないと不満をこぼしているようだ。