【ちむどんどん】暢子の物件探しに法律違反の恐れ?東京都内の貸店舗は借りられるのか!

 どうやら時代考証のみならず、法律まで無視してしまっていたようだ。

 8月16日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第92回では、ヒロインの青柳暢子(黒島結菜)が沖縄料理店のオープンに向け、貸店舗探しに奔走する様子が描かれた。そのなかに法律違反の可能性が濃厚な描写があったという。

 上京以来、横浜・鶴見に住んでいる暢子は、お世話になっている沖縄県人会会長・平良三郎(片岡鶴太郎)の紹介で、鶴見北西信用金庫から融資を受けることを検討。事業計画書を提出するも、同信用金庫の職員からは経費や運転資金の見積もりについて「少しずつ甘いと思います」との指摘を受けていた。

 さらに、物件を決めないと経費全体のめどが立たないという、当然の指摘も受けることに。すると職員は「うちでもご紹介できます」と、物件探しの手伝いを申し出たのである。

「当初は自分で不動産屋を回っては物件情報を集めていた暢子。しかし業務用の貸店舗となると20代前半の女性が飛び込みで訪れても、良い物件を見せてくれないケースも多いものです。それなら金融機関に紹介してもらったほうが、個人客には出さない掘り出し物の物件が見つかる可能性も高い。信用金庫に頼った暢子の判断は正しかったと言えそうです」(週刊誌記者)

 東京都内での開店を計画している暢子は信用金庫職員の案内で、東京・杉並のサンサン商店街にある貸店舗を訪れていた。元は魚屋だった食堂で、オーナーが高齢になったことから店を畳んだそうだが、状態はすごく良いとのことだ。

 しかも2階は住み込みの従業員のために使っていたそうで、広めの2LDKといったところか。家賃はちょっと予算オーバーとのことだが、ここなら2階に暢子が住むことで住居兼用となり、そのぶん家賃を抑えられることにもなる。

 終盤には故郷の沖縄にいる妹の歌子(上白石萌歌)と電話で話し、昔から東京で料理人になることが夢だったとの想いをあらためて思い出すことに。電話を切った暢子は希望に満ちた表情で「よし、決めた!」と決意していた。

開業に向けた融資を受けることの不安を夫の和彦に相談する暢子。©NHK

 いよいよ念願の沖縄料理店開店に向けて、準備が整った様子の暢子。その意気やよしと応援したいところだが、そんな物語のなかに法律違反とおぼしき描写があったというのである。

「暢子が融資を申し込んでいる鶴見北西信用金庫は、その名の通り、神奈川県横浜市の鶴見区を本拠としているはず。一方で信用金庫は法律により、営業範囲が厳密に定めらています。近隣の地域なら他の都道府県であっても営業範囲にできるものの、鶴見の信用金庫ならせいぜい、神奈川県に隣接する東京・大田区まで。鶴見から杉並までは20キロ以上も離れており、そこで同信用金庫が営業することは明らかな法律違反になるはずです」(前出・週刊誌記者)

 信用金庫と取引するためには、営業範囲内に居住している必要がある。それゆえ暢子が鶴見の自宅(下宿)から杉並の店舗に通勤する形なら、融資を受けることはできるはずだ。ただしその場合は毎日、片道1時間の電車移動を余儀なくされることになるだろう。

「もし暢子が物件の2階に引っ越してしまうと、横浜市民から東京・杉並区民に変わってしまうので、営業範囲外への融資に該当してしまいます。そもそも鶴見の信用金庫がなぜ、杉並の物件を扱っているのかのも謎。せめて物件が大田区にあることにすれば、こんな疑問も生じなかったのですが…」(前出・週刊誌記者)

 果たして暢子は東京・杉並で第三の人生を始めることになるのか。いきなりその地名が出てきた杉並区民は「暢子がご近所さんに!?」と驚いていることだろう。