【ちむどんどん】ついに賢三までダメ人間に!「お前は悪い人間じゃない」のセリフに視聴者幻滅

 お父さんだけは最後の砦だと思っていたのに…。視聴者の嘆きが広がっているようだ。

 8月18日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第94回では、マルチ商法に騙された比嘉賢秀(竜星涼)がとうとう、自らの愚かさに気づくことに。そこで過去の自分を回想したシーンに、視聴者が幻滅していたという。

 アメリカ製のビタミン剤を扱うマルチ商法に手を出した賢秀。その怪しさに気づいて首謀者のアジトに乗り込むも、逆に違約金200万円を請求されてしまう。妹でヒロインの青柳暢子(黒島結菜)は、沖縄料理店の開業資金として用意した虎の子の200万円を手に賢秀のもとに急行。大事なお金をまんまと奪い取られたのだった。

「警察の事情聴取を受け、賢秀自身は罪に問われることはなくなったものの、200万円を取り戻すことは不可能に。そもそもは妹の結婚祝いとして200万円を稼ぐつもりだったのが、逆に200万円の損害を与えることになってしまいました。この一件でようやく、一発当てようとしていた自分の愚かさに気づいた賢秀は、中学生のころに起こした万引き事件について思い出していたのです」(テレビ誌ライター)

 その回想シーンでは、中学生だった賢秀が仲間とつるんで沖縄・山原村の共同売店で万引き。賢秀は品物ではなく、レジから小銭を盗んでいたのだった。

 店主に連れられて実家に戻ってきた賢秀。すると父親の賢三(大森南朋)は店主に土下座しながら、「次にこいつがこんなことしたら俺が刑務所に入る。すんませんでした」と謝罪だ。

 父親の土下座を目の当たりにして「ありえん! 父ちゃんは関係ない」と言う賢秀。すると賢三は「家族だのに、関係ある!」と言い聞かせ、それでも納得しない賢秀に「関係ないって言うな! 二度と言うな!」と声を荒げたのだった。

「ここまでなら息子のことを想い、自ら頭を下げた父親の姿に、視聴者も心を打たれていたことでしょう。ところが賢三は続けて『お前は悪くない。悪いことしたけどお前は悪い人間じゃない』と、信じられないセリフを口にすることに。その理由として『お前が悪いとしたらそれは父ちゃんのせいだ』と、賢秀の悪行はすべて自分の責任だと説明していたのです」(前出・テレビ誌ライター)

 たしかに息子の教育は父親の責務であり、賢三が「父ちゃんのせいだ」と自責するのは分からなくもない。しかし、窃盗という犯罪を犯した息子に対して「お前は悪くない」と言い切るのは、自らの罪から目を逸らせる最悪の教育であることは明らかだ。

 そんな賢三に、視聴者からは<叱るのも父親の役目でしょう><人を死なせても同じことを言えるのか!?>といった批判の声が噴出。賢秀に甘すぎる母親の優子(仲間由紀恵)とは違うと信じていた視聴者からは<賢三さんまで甘かったのか…>との呆れ声もあがっていたのである。

マルチ商法に手を染めていた賢秀。それも亡き父親・賢三による教育の結果かと思うとやるせなくなってしまう。トップ画像ともに©NHK

 このエピソードにより、これまで築き上げてきた「亡くなった父親はいい人だった」というイメージがガタ落ちとなった賢三。ついに最後の砦まで陥落したのかと、視聴者も残念がっているようだ。その無念さや怒りは制作陣に対しても向けられているという。

「賢三までダメ人間になる展開に《制作陣は何を描きたいのか?》といぶかる視聴者も続出。よもや諸悪の根源は“貧乏”だとでも言いたいのでしょうか。もし賢三の言動が家族愛を象徴しているのであれば、こんなねじ曲がった家族もそういないことでしょう。結局、比嘉家の家族は誰一人として『周りに迷惑をかけない』という当然の生き方ができないようです」(前出・テレビ誌ライター)

 今回、7年間勤めてきたイタリア料理店の「アッラ・フォンターナ」を退店した暢子は、「たくさんのお客様の笑顔を見ることができました。うちの人生の宝物です」と語っていた。しかしそこに、オーナーや他の従業員に対する感謝の言葉はなかったのである。やはり比嘉家の家族は<自分がどう感じたか、どうありたいのか>を最大の行動原理としているようだ。