【ちむどんどん】暢子の借金返済シーンで信用金庫をおとしめる描写が続出!

 信用金庫で働いている人たちは「風評被害だ!」と憤っているのではないだろうか。

 9月8日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第109回では、ヒロインの青柳暢子(黒島結菜)が信用金庫に返済する40万円を置き忘れてくる騒動が勃発した。その内容にあまりにも失礼な点があったという。

 東京・杉並に沖縄料理店をオープンした暢子は、開業資金を融資してくれた鶴見北西信用金庫(※架空の信金)に40万円を返済することに。現金を用意して封筒に入れておくも、店を出る際にカウンターに置き忘れていた。

 横浜・鶴見まで移動した暢子は、かつて下宿していた沖縄料理店の「あまゆ」にて、信金職員の坂田(安井順平)を待ち受けることに。いつも通りに遅刻してきた坂田は「すいません、お約束の時間を間違えてました!」と慌てた様子だ。

 返済のついでに追加融資の相談をするつもりだった暢子だが、40万円入りの封筒がないことに気づいて大慌て。果たして返済はどうなるのか…というエピソードになっていたが、この時点ですでに何点か、ありえない描写が見受けられたという。

「まずは当初から指摘されていたことですが、横浜・鶴見の信用金庫が、東京・杉並で料理店を営む暢子に開業資金を融資することはありえません。信用金庫は地域の発展に寄与することが法律で義務付けられており、営業範囲外での融資は明確に禁じられているからです。かつては鶴見在住だった暢子ですが、杉並を開業の地に選んだことにより、鶴見北西信用金庫との縁を自ら切ることに。本来なら杉並区を営業範囲とする信用金庫と取り引きしなければならず、もはや法律すら無視した描写には呆れるばかりです」(週刊誌記者)

 どこの信用金庫でも、公式サイトのわりと目立つところに営業範囲に関する決まりを載せているもの。制作陣が信用金庫についてろくに調べていないのは明らかだろう。

 そんな法律面に加えて、信用金庫との取引経験のある人であれば、今回の描写がいかに常識外れなのかがすぐ分かるというのである。

「40万円もの大金を現金で返済するなら、信用金庫の職員は融資先に自分で集金に来ますよ。それも物語の舞台である昭和54年(1979年)ならなおさらのこと。銀行とは異なり、信用金庫はフットワークの軽さが持ち味。普段から融資先に御用聞きをして回っていますし、返済期日が迫れば自分から取引先に連絡して集金に向かうものです」(前出・週刊誌記者)

 おそらく制作陣には、金融機関の職員が自宅や職場を訪ねてきた経験などないのだろう。しかし信用金庫と取引した経験がないのであれば、せめて経験者に話を聞くべきではないか。

杉並の店舗を訪れていたこともある坂田。今回は「40万円置き忘れ」を描きたいがために、坂田のもとに出向く描写にしたのだろう。トップ画像ともに©NHK

 実際のところ、暢子のように店を構えている自営業者だけではなく、カメラマンや映像制作業者といったテレビ業界の関係者にも信用金庫と取引している人は珍しくない。少し周りに声を掛ければ、信用金庫のエピソードを集めることなど雑作ないはずなのだが…。

「それに加えて坂田が毎回のように遅刻してくることも、信用金庫の職員をバカにした描写です。地域の自営業者を主な取引先とすることから、信金職員は営業中の店舗を訪問して集金して回るのが通常業務の一つ。それゆえ時間厳守は職員にとってイロハのイなのです。それなのになぜ、坂田をおっちょこちょいな人物として描くのか。信金職員をおとしめるような描写は、その意図がまったく理解できません」(前出・週刊誌記者)

 今回の描写は信用金庫の職員にとっても、信用金庫と取引している自営業者にとっても、実に不快な内容となっていたようだ。