【ちむどんどん】暢子の自宅を食堂に改装も、台風で壊滅する運命だった!?

 その簡素な作りに危機感を覚えた人もいたことだろう。

 9月28日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第123回では、沖縄に里帰り移住したヒロインの青柳暢子(黒島結菜)が、自宅を改装した料理店「やんばるちむどんどん」の開業に向けて精を出す様子が描かれた。

 昭和59年7月に夫と長男を連れて沖縄やんばる地方の実家に帰郷していた暢子。翌年の5月には、自宅を改装して沖縄料理店を開業することを決めていた。庭には屋根を設けてテラス席として利用することに。その工事は村の人々の協力により、ほぼ無償だったようだ。

「開業を決めた際にはさっそく、村の有志が廃材等を集めて搬入。第123回では例によってあっという間に半年が過ぎ、ずいぶんと立派な屋根ができていました。屋根を支える柱は2メートルを優に超えており、梁や筋交いも含めて立派な廃材がこんなにたくさん集まるものなのかと驚くほど。2間×6間(約24畳に相当)ほどの巨大な屋根には驚きを隠せません」(週刊誌記者)

 普通に施工したら100万円程度ではとても済まない規模の屋根が、暢子さまの信奉者である村人たちの無償奉仕により完成。いったいどうすればそれほどの奉仕を受けられる立場になれるのか、謎は尽きないことだろう。

 ともあれ家族の収入を夫・和彦(宮沢氷魚)の原稿料に頼るなか、業務用の冷蔵庫やローテーブル、レジスターなども購入するなど、どこから資金が湧いて出てきたのかも謎だ。もっともドラマの描写に現実的な金勘定を持ち出すのは野暮というものだろう。

 だが、いくらドラマとは言え、沖縄にこんな建物を建てていいのかとの疑問までは払しょくできないはず。というのもこのテラス席はいとも簡単に吹き飛んでしまいそうだというのである。

「テラス席の柱を見ると、礎石の上に乗っており、地面に埋められていないことが分かります。それ自体は沖縄では特に珍しくない施工法であり、暢子の実家もおそらく同じように作られているはず。ただ問題は、それらの柱が連結されていないこと。家屋の場合は柱の下側を根太という水平方向の梁でつなぎ、建物全体が箱型になるように補強しています。ところが暢子のテラス席はそれぞれの柱が独立して礎石に乗っているだけ。これではテントと同じ作りであり、構造的に非常にもろいことは目にも明らかです」(前出・週刊誌記者)

右奥に見えるテラス席は、柱に屋根を載せただけの簡素な構造であることが分かる。トップ画像ともに©NHK

 そんな不安定な構造に加え、このテラス席には致命的な欠陥があるという。それは四方向に一切、壁が設けられていないことだ。

 壁なしの構造は、自然と繋がっていたいという暢子の希望によるもの。その結果、柱の上にトタン葺きの軽い屋根が乗っかるだけの簡素な構造となっていたのである。

「運動会などで大型テントを立てた経験のある人なら、風に弱いこともご存知でしょう。しかもテントとは異なり、暢子料理店のテラス席は常設なので、いざという時に解体することもできません。これで台風が襲来した日には、柱と屋根だけのテラス席が簡単にひっくり返ったり、宙に巻き上げられるであろうことは確実。そのまま暢子の自宅に突っ込んで家を破壊しかねず、非常に危険な建物となっているのです」(前出・週刊誌記者)

 風のないテレビスタジオ内に構築されたテラス席なら、構造的な不安を感じることもないだろう。しかしこれが実際に屋外に設置されていたら、童話「三匹の子豚」の木の家と同様に、簡単に壊れてしまうことは明らかだ。

 しかしそこはドラマ。暢子の実家が台風に見舞われた描写はなく、料理店の厨房は屋外と隔絶する壁やドアがないなど関連法令に違反したままだ。どうやら本作の描写はすべてファンタジーであり、暢子さまを頂点とする謎のヒエラルキーが構築されていることもまた、天与の条件として受け入れるべきなのかもしれない。