【舞いあがれ!】オムライスのレシピが間違っていた?そこもきっちりカバーする演出の凄み!

 その細かすぎる描写に、視聴者も感心しきりだったことだろう。

 10月20日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第14回では、ヒロインの岩倉舞(浅田芭路)がクラスメートの望月久留美(大野さき)を“秘密基地”に誘うことに。そこは舞が幼馴染の梅津貴司(齋藤絢永)の案内で通うようになった古書店の「デラシネ」だった。

 詩人でもある店主の八木巌(又吉直樹)は書店の奥にある居室を子供たちに開放し、舞たちは思い思いの時間を過ごすことに。舞は父親の浩太(高橋克典)を驚かそうと模型飛行機作りに熱中し、貴司は本を読むのに没頭していた。そして小3ながら家庭では料理作りを担当している久留美は、レシピ本からオムライスの作り方を書き写していたのだった。

「久留美が見ていた料理本はなんと、本作のため作られた一点もの。料理指導の広里貴子氏によるオリジナルであることが、ドラマの公式ツイッターで明かされていました。広里氏は“ごちそうプロデューサー”として大阪を拠点に様々な番組でフードコーディネーターを手掛けており、朝ドラでは2013年後期の『ごちそうさん』を皮切りに、10作品連続で料理指導を続けています」(女性誌ライター)

 NHK大阪放送局の制作陣も広里氏のレシピにはすっかり信頼を置いている様子。視聴者としてもぜひ、画面に映っていたオムライスとスコッチエッグのレシピを公開してもらいたいと期待するところだろう。

 そのレシピではスコッチエッグの欄に「ラグビー型に包む」との説明が。作品の舞台となっている東大阪市はラグビーの聖地として知られる花園ラグビー場を擁しており、ラグビーの街としても有名だ。第12回で舞と貴司がデラシネを訪れた際にも、商店街には「とびだし注意!」と書かれたラグビー少年の看板が置いてあるのに気づいた人もいたのでは。

“秘密基地”の古書店デラシネでは、小学生3人が思い思いの時間を過ごしていた。トップ画像ともに©NHK

 そのようにロケ地へのリスペクトも盛り込むなど、万全の内容となっているレシピ本。ところがその内容に一カ所、明らかにおかしな点が見受けられたというのである。

「久留美はオムライスの材料と作り方を書き移していましたが、レシピ本の材料欄にはなんと『玉子』が入っていなかったのです。よもや広里氏が書き忘れてしまったのか、それとも小道具としてのレシピ本を制作したNHK側のスタッフが間違えたのか。いずれにせよ細部にまで神経が行き届いている『舞いあがれ!』にしては、珍しいミスだと驚きましたね」(前出・女性誌ライター)

 だが、そんなミスも演出次第でカバーできるということもまた、この場面では示されていた。久留美が材料をレシピ本から書き写していた紙には、材料の欄で付け足すように「玉子4個」と書きこまれていたのである。

「その様子を見れば、作り方の途中に《玉子4個を使って薄焼きの玉子焼きを作る》という手順が入っているであろうことが容易に想像できます。実際、そういった形で一部の材料が別書きされているレシピ本もなくはありません。ともあれ、久留美の書き写しで『玉子4個』がいかにも書き足した風になっていたことに、演出の妙を実感しました」(前出・女性誌ライター)

 今回のレシピがNHKから公開されることがあれば、その際には材料欄にも玉子4個の記載が追加されているはず。ともあれ、本筋に直接関係ないはずの料理まで美味しそうな本作のこだわりには、視聴者も感心しきりに違いないだろう。