【舞いあがれ!】浩太が見せた「父親の顔」は、夢の第一歩を呼び込むきっかけだった!

 俺も同じような顔つきになるんだろうな…。そんな声が日本中から聞こえてきたようだ。

 11月7日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第26回では、ヒロインの岩倉舞(福原遥)が実家のねじ工場に、サークルの先輩3人を連れてくることに。工場の社長で父親の浩太(高橋克典)が男子学生たちを迎え入れる様子が描かれた。そこで浩太が見せた「父親の顔」が話題になっているという。

 舞は浪花大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」にて、1回生ながらパイロットを務めることに。8月の記録飛行を前にテストフライトに成功し、部員の士気は相当高まっている様子だ。

 なにわバードマンでは飛行距離の世界記録を目指しており、「スワン号」のさらなる改良を模索。体力面で非力な舞に合わせて、設計担当の刈谷(高杉真宙)はプロペラの取り付け角度を最適化したいと提案だ。プロペラ担当の玉本(細川岳)は、プロペラハブの改良には金属加工が必要だと反対するも、舞の実家で加工ができるかもしれないという話になった。

「舞から相談の電話を受けた浩太は『舞に久しぶりに頼み事されたわ』と嬉しそうにしていましたが、古参社員の結城(葵揚)は『彼氏も来たりして』と余計な茶々入れ。舞が携帯の待ち受けを見てニヤついていたと明かしつつ『あれ彼氏の写真やったりして』と茶化すと、浩太はすっかり表情が固まってしまっていたのです」(テレビ誌ライター)

 このやり取りに、娘を持つ世の父親たちはすっかり浩太の気持ちになっていたことだろう。本作ではヒロインの恋バナが話題になったことはなく、ほとんどが男子部員のなにわバードマンでも、舞を女として見ている部員はいない様子。しかしサークル事情など露知らずの浩太にとって、舞の周りにどんな男どもがいるのかだけでも気になって仕方がないはずだ。

 一方で本作では舞と両親の関係も大事な要素の一つ。母親のめぐみ(永作博美)は自分が思っている以上に舞が成長していることに驚き、父親の浩太は舞が人間関係を広げていることに一抹の不安を覚えていたのかもしれない。

 プロペラハブの加工を依頼するため、舞の実家である株式会社IWAKURAの工場を訪問した先輩たち。刈谷、玉本、そして部長の鶴田(足立英)を見定める浩太らの目線はまさに「目は口ほどに物を言う」だったのである。

「古参社員の結城は玉本を一瞥したあと、刈谷を見定めるようにじっくりと観察。次いで鶴田を見つめてから思案顔になっていました。その表情は《髭モジャはなし。さてはイケメン眼鏡とさわやか男子のどっちが本命だ?》と考えている様子です。それに対して浩太は、舞の父親としてきちんと振る舞うことを意識しつつ、初めて見る舞の仲間たちに困惑している様子。誰が彼氏なのかと考える以前に、自分の知らない男子学生が舞と親しくしていることに動揺していたのかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)

なめるように3回生たちを見定めていた結城と、苦笑いで困惑した様子の浩太。トップ画像ともに©NHK

 しかし今回、なぜ制作陣はわざわざ、なにわバードマンの3回生たちを浩太に引き合わせるようなストーリーを描いたのだろうか。浩太が父親の顔を見せる姿だけが目的というのはいささか不自然な話だ。

 プロペラハブに関しては古参社員の笠巻(古舘寛治)が、かつて金属加工の会社で働いていた腕前を発揮し、完璧な加工を実現。舞の体力に合わせたプロペラ取り付け角度が実現できることになった。これで浩太は舞の夢に少し貢献できたわけだが、彼が叶えたのは娘の夢だけではなかったというのである。

「浩太の夢は、自分の工場で作った部品が飛行機で使われること。今回の成功により、株式会社IWAKURAで加工したプロペラハブが人力飛行機の部品として空を飛ぶこととなり、浩太にとっても夢の実現における第一歩となったのではないでしょうか。舞が小学生だった時に、自分の趣味だった模型飛行機作りを受け継いでもらった浩太が、今度は舞のおかげで夢をかなえることになった。これは実に素晴らしい《行って来い》だと言えそうです」(前出・テレビ誌ライター)

 同じ飛行機という趣味において、それぞれの夢をかなえつつある舞と浩太。これで浩太も、スワン号の世界記録達成を心から願うようになったに違いないだろう。