【舞いあがれ!】由良先輩、代役パイロットの舞に嫉妬心など抱いていないことが態度に表れていた!

 彼女の気持ちもまた、奇跡の実現には欠かせない大事な要素なのだろう。

 11月8日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第27回では、翌日に人力飛行機「スワン号」の記録飛行を控えるなか、決起集会となるたこ焼きパーティーを開催した様子が描かれた。そこで語られたセリフに、思わず涙する視聴者も少なくなかったという。

 浪花大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」では、女性パイロットによる飛行距離の世界記録に挑戦。パイロットを務めるのは本作のヒロインで1回生の岩倉舞(福原遥)だ。本来は2回生の由良冬子(吉谷彩子)がパイロットだったが、6月のテストフライトで突風にあおられて墜落。左脚骨折の重傷となり、舞が代役を務めることになったのである。

「退院した由良は、舞のサポートに徹することに。由良より身長が4センチ高く、運動経験もない舞は、49キロから44キロへの減量と並行して、180ワットの出力でペダルを1時間漕ぎ続ける体力を身につけるトレーニングを積んできました。由良は舞を叱咤激励しながら献身的にサポートしていましたが、視聴者のあいだにはそんな由良の本心をいぶかる声もあったのです」(テレビ誌ライター)

 それは由良が「本当なら私がパイロットなのに…」という気持ちを押し殺しているのではないかというもの。外野から見れば、せっかく1年以上を掛けてパイロットとして訓練してきたのに、そんな晴れの場を入部したばかりの1回生に取って代わられるのは不本意だと感じていそうなものだ。

 しかも他の部員たちは男性ばかりで、日々成長する舞に感心しっぱなし。周りからの注目と称賛を一心に浴びる舞の姿を間近で見ている由良に、後輩への嫉妬心が生まれたとしても何ら不思議はないだろう。

 だがそんな心配は、まったくの杞憂に過ぎなかったことが、今回のたこ焼きパーティーで示されたというのである。

 たこ焼きパーティーでは部長の鶴田(足立英)が、スワン号の墜落や由良の骨折、設計担当の刈谷(高杉真宙)による引退宣言などで、何度も記録飛行をあきらめかけたと吐露。それを受けてプロペラ担当の玉本(細川岳)も、自分と飛行機のどちらを取るのかと元カノに迫られ、飛行機を選んでいたことを告白だ。

 すると舞の隣に座っていた由良は、思いつめたような目つきでスワン号の機体を見つめていた。その視線に込められた意味とは何なのか。

「舞が『由良先輩?』と話しかけると、由良は『奇跡やわ 壊してしもたのに また会えた』とポツり。その表情にはわずかながら笑みも浮かんでいました。彼女はテストフライトでの墜落は自分の操縦ミスに原因があると責任を感じており、自分が壊してしまったスワン号が記録飛行を狙えるまで復活したことを、心の底から喜んでいることが伝わってきたのです」(前出・テレビ誌ライター)

 その表情は「またスワン号が空を飛ぶ」ことへの嬉しさや喜びに満ちあふれていた。その一方で、自分がパイロットとして飛べないことの悔しさは、微塵も感じさせなかったのだ。

各部員が自分の想いを吐露したたこ焼きパーティーで、なにわバードマンの結束はさらに強まっていたようだ。トップ画像ともに©NHK

 ここで「奇跡」という言葉を受けた設計担当の刈谷(高杉真宙)は「ここにおる全員がそうたい。一人でも欠けとったら、スワン号はこんなにも高性能じゃなかった」と熱弁。続けて「明日、全員が集合してスワン号を飛ばす。ただそれだけのことたい。けどそれを、奇跡って言うんじゃなかとか」と、なにわバードマンの結束がいかに奇跡的なのかを強調したのである。

「部員たちは11人全員が、自分の役割をまっとうすることへのプライドを抱いています。各部員はそれぞれプロペラや胴体、翼だけを作っているのかもしれませんが、一人でも欠けたらスワン号は空を飛びません。パイロットを務める舞もそうですし、舞のサポートを務める由良も同じこと。由良による叱咤激励がなかったら舞は44キロへの減量を果たせず、180ワットでペダルを漕ぎ続ける体力もつかなかったことでしょう。それを全員が実感しているからこそ、由良はサポート役の自分が役割をまっとうしていることに満足し、プライドも満たされているのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)

 全員で「スワン号を飛ばす」という一つの目的に向けて邁進する姿は、ラグビーでいうところの「One for all, All for one」(一人は全員のために、全員は一人のために)そのもの。本作の舞台となっている東大阪市はラグビーの聖地「花園ラグビー場」を抱えるラグビータウンだ。

 この第27回でスワン号はついに、琵琶湖に向けて飛び立った。果たして記録飛行が成功するかどうかは分からないものの、無事に飛びたった時点ですでに、奇跡の一つ目は達成されたに違いないだろう。