【舞いあがれ!】梅津勝のバファローズ愛に疑問の声?マニアからは「これぞ正しい!」との声も

 まさか朝ドラをテーマに野球ファンが議論を交わすとは。制作側もしてやったりかもしれない。

 11月18日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」では、会社を辞めて長崎・五島列島を放浪していた梅津貴司(赤楚衛二)が、東大阪の実家に戻る場面が描かれた。そこで両親と交わされた会話に、野球ファンが注目していたという。

 お好み焼うめづを営む父親の勝は、筋金入りの近鉄バファローズファン。店のある東大阪市は近鉄沿線にあり、もとよりバファローズファンの多い土地柄だ。店では赤いラグラン袖が特徴のユニフォームを制服代わりに着用しており、店内にはバファローズグッズが数多く飾られている。

 ただ作中の2005年には、親会社の近鉄がプロ野球経営から撤退し、バファローズをオリックスに譲渡。バファローズはオリックス・ブルーウェーブと合併し、パ・リーグでは新たに楽天イーグルスが設立されたという動乱の年だった。

「息子の貴司は今後、旅をしながらその土地で働き、自分探しをしたいと主張。そんな貴司に対して勝は『こっからおらんようになってもね、お前とバファローズはいつまでも俺の希望の星やで』とニコリ。近鉄バファローズが消滅したプロ野球界と、息子が自分の元から旅立っていく現実を重ね合わせることで、自分自身のことも鼓舞していたのでしょう」(スポーツライター)

 野球ファンなら思わずニヤリとする場面だったが、実はこの画面に一部のファンから「このセリフはおかしい!」とのクレームが入っていたというのだ。

五島から戻ってきた貴司を迎えた両親。母親の雪乃(くわばたりえ)は貴司の頭をはたきながら愛情を示していた。トップ画像ともに©NHK

 というのも勝のセリフは字幕でこそ「バファローズ」となっていたものの、彼自身の発音は明らかに「バッファローズ」に聞こえていたのだ。野球ファンにとって小さな「ッ」が入るかは入らないかは大問題。とくに近鉄ファンは「バファローズ」という表記にこだわりをもっており、近鉄ファンを名乗る勝が「バッファローズ」と発音したことは、演出の不備だと不満タラタラのファンもいたという。

 だがその一方で、旧来の近鉄ファンのあいだでは「バッファローズでもええんやで」との声もあがっているという。それはどういうことなのか。

「表記上はあくまで『バファローズ』がマストですが、発音する時には地元ファンであっても小さな『ッ』を入れていたもの。むしろそのほうが現実に即しているとの見方もあるのです。実際、応援歌の『近鉄バファローズの歌』では、明らかに『バッファローズ♪ バッファローズ♪』と歌っていますからね。書き言葉と話し言葉が違うのはよくある話。それこそキヤノンにしても、発音する時にはキャノンになるのと同じことです」(前出・スポーツライター)

 なにしろ球団公式マスコットの名前が「バッファ君」だったのだから、発音上はバッファローズで可というのが、ファンの共通認識となっているようだ。