緊迫感あふれるシーンに、疑問を抱いた視聴者もいたようだ。
12月12日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第51回では、2回目のソロフライトに臨んだヒロインの岩倉舞(福原遥)が、強い横風のせいで帯広空港に着陸できなくなる緊急事態が描かれた。そこで交わされた会話に、疑問の声があがっているようだ。
航空学校でパイロットを目指す舞は、苦手とする着陸を特訓したことから、ソロフライトの訓練が他の学生より遅れていた。この日はようやく2回目のソロフライトに挑んだものの、飛行中に空港周辺の横風が制限値を超えることに。帯広空港への着陸をあきらめ、87㎞離れた釧路空港に着陸するよう指示されたのだった。
その指示に「私一人でって…そんな」と焦りまくる舞。息遣いは荒くなり、呼吸も浅くなっている。これで無事に着陸できるのかと視聴者の心配も高まったところで、救いの神が現れた。大河内教官(吉川晃司)の乗る訓練機が舞に追いつき、「釧路まで私が誘導する」と交信。これには視聴者からも<ジーンときた><惚れてまうやろ!>と喜びと感動の声が続出だ。
学生たちからは鬼教官と呼ばれつつも、実はしっかりと学生を見守っている大河内教官。このフライトを通して舞はますます、大河内教官への信頼を高めていくに違いない。そんな感動シーンに、一部からこんな疑問が浮上していたという。
「今回のソロフライトで舞と大河内教官は日本語で会話していました。教官が『帯広空港への着陸はあきらめる。釧路空港に変更だ』と指示すると、舞が『了解しました。釧路向かいます』と応えるといったものです。しかしこれまでの訓練で、無線交信はすべて英語で行っていたはず。それ今回、なぜいきなり日本語になったのか。作中でも説明がなく、戸惑う視聴者も少なくないようですね」(テレビ誌ライター)
航空無線は英語で交信することが定められており、舞たちも管制塔との交信で「Runway17 clear to land」(滑走路17に着陸許可)といった英語を使っていたもの。
今回のソロフライトでも舞は、離陸時にやはり英語で交信していた。ところが風速が強まった時点で、通信機を手にした大河内教官は「01TC、こちら帯広。訓練を中止して空港に戻れ」と日本語で話しかけていたのだ。これはいったいどういうことなのか?
「これらの会話は決して、視聴者に分かりやすいように日本語にしたのではありません。舞と教官が交わしたのは航空管制用の航空無線ではなく『カンパニーラジオ』という別の交信手段。業務連絡用の社内無線のようなものです。こちらには使用言語の制限がなく、日本語で通信しても問題なし。ANAやJALといった航空会社に加えて警察や自衛隊もそれぞれのカンパニーラジオを運用しており、航空学校(航空大学校)も同様です」(飛行機に詳しいトラベルライター)
ちなみに航空管制でも、緊急事態が発生した時などには「日本語で失礼します」と前置きしてから、日本語で詳しい状況を伝えることがある。
また作中では省略されていたが、着陸地を帯広から釧路に変更した件については、舞も航空無線にて英語で通信していたはず。ともあれ視聴者としては、無事に釧路空港に着陸することを祈るばかりだろ。