なんてことをするんだ! そんな罵声を自分に浴びせられた気持ちになった人たちもいたようだ。
1月6日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第66回では、ヒロイン岩倉舞(福原遥)の父親・浩太が経営する部品工場の株式会社IWAKURAが苦境に立たされることとなった。その原因となった企業の名前に反応する視聴者が少なくなかったという。
リーマンショックの影響で業績が悪化していたIWAKURAが、起死回生の策として期待していたのが、太陽光発電の機械に使うねじの受注だ。業界標準の半分程度という短い期間で試作に成功し、発注元からは合格の連絡をもらうことに。注文は月100万本以上になるとの話で、浩太は本発注を前にねじの量産をスタートする決断を下していた。
ところが後日、発注元から設計の変更が発生し、試作させたねじの発注はなくなったとの連絡が。慌てた浩太が発注元に直談判に行ったものの、担当者は「どうしようもないことで」とけんもほろろだった。
「この仕打ちに視聴者は憤りました。難しいねじを試作させたうえで納期まで伝えていたのですから、いくら本発注がなかったとはいえ、発注元に責任がないとは言い難いでしょう。視聴者からは下請法違反を怪しむ声もあがっていましたが、違反があったからと言ってすぐに量産済みねじの代金を支払ってもらえるわけでもなく、もはやIWAKURAの命運は尽きたかのようです」(週刊誌記者)
その発注元だが、これまで会社名は一切明かされておらず、視聴者を不安がらせていたもの。太陽光パネルの生産では2009年時点ですでに中国企業が世界シェア首位の座を日本企業から奪っており、外国メーカーに騙されるとの懸念を示していた人もいたほどだ。
それが今回、発注元が「栗東工業」という社名であることが判明。浩太がすぐに駆け付けられたということは、同じ関西にある企業であることは確実だろう。しかも担当者は一般的な作業服を着ており、IWAKURAと同じようなものづくりメーカーのようだ。
「栗東工業という社名はおそらく、滋賀県栗東市に由来しているのでしょう。同地には中央競馬の栗東トレーニングセンターがあり、競馬ファンには関東の美浦と並んでおなじみの名前。スポーツ紙やスポーツニュースで『栗東で調教順調』といった記事や報道に接することは珍しくありません。それゆえ栗東トレセンと栗東工業に何の関係もないことは明らかながら、なんだか申し訳ない気持ちで冷や冷やしてしまう競馬ファンも少なくなかったようです」(前出・週刊誌記者)
ちなみに栗東市は琵琶湖にもほど近い場所にあり、ヒロインの舞が人力飛行機のスワン号で琵琶湖の湖上を飛んだ時には、名神高速で栗東市を通過していた可能性もある。その栗東でまさか自分の父親が人生最大級の苦境に瀕してしまうとは、大学生当時の舞には思いもよらなかったことだろう。