【舞いあがれ!】パイロットをあきらめた舞、大河内教官との約束をあっさりと破っていた!

 あの感動を返してほしい…。そう残念がる視聴者も多かったことだろう。

 1月13日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第71回では、ヒロインの岩倉舞(福原遥)がハカタエアラインの内定を辞退し、パイロットへの道をあきらめる姿が描かれた。その決心に視聴者がもやもやした思いを抱いていたという。

 父親の浩太(高橋克典)が亡くなり、実家の部品工場・株式会社IWAKURAは苦境に陥ることに。社長業を継いだ母親のめぐみ(永作博美)を手伝っていた舞のもとを、恋人の柏木(目黒蓮)が訪れてきた。

 航空学校の同期生だった柏木は「いまパイロットあきらめたらきっと後悔する」と説得。しかし舞は「いまここ離れたら絶対後悔する」と主張し、母親を助けることが「今の私にとっての一番大事なことや」と断言していた。

 その言葉に「そういう舞だから、好きだった」と過去形で応えた柏木。具体的な言葉にはしなかったものの、別れを告げたことは明らかだ。これで共にパイロットを目指した二人は袂を分かつことになったが、そんな舞に失望する視聴者が少なくなかったのである。

「12月15日放送の第54回では、舞と柏木が航空学校帯広キャンパスでの最終審査に合格。サンダー大河内こと大河内教官(吉川晃司)から『いつか君たちが操縦する旅客機に、乗れることを楽しみにしている』とのエールを贈られていました。しかし結果的に舞は、大河内教官との約束を自ら破る形となったのです」(テレビ誌ライター)

 2年弱を訓練に費やし、同期の水島学生(佐野弘樹)が途中でフェイル(落第)するなか、無事に卒業まで漕ぎつけた舞。せっかく航空会社の内定をもらっていたのに、それをあっさりと投げ出すこととなった。そんな舞に対して視聴者からは<自分勝手すぎる>との批判が巻き起こっているようだ。

大河内教官から受けた薫陶も無駄にしてしまった舞。トップ画像ともに©NHK

 それに加えて彼女がパイロットへの道をあきらめたことにより、航空業界に実損を与えてしまったとの指摘もあるという。

「パイロットの養成には多額の費用が掛かり、私立大学の養成課程で学んだ場合には4年間で総額2000万円を超える学費がかかります。それに対して航空学校では学費が国立大学の水準に抑えられており、舞が負担したのは寮費を合わせても200万円程度。その差額は国や航空業界からの補助金で賄われているのです。それゆえ舞は、自分が受けていた恩恵を完全に無駄にしてしまったと指摘せざるを得ません」(飛行機に詳しいトラベルライター)

 そもそも舞が航空学校を目指さなかったら、本気でパイロットになりたかった別の受験生が合格できていたはず。彼女が実家の工場を手伝うと決心したことは結果的に、誰かの夢を奪ったことに等しいのではないか。

 第71回のラストシーンでは舞とめぐみがハグしながら涙を流し、「向かい風に立ち向かう二人の挑戦が始まります」とのナレーションが被されていた。しかしこのハグを感動的な場面として描くことに、違和感や拒否感を抱く視聴者も決して少なくなかったことだろう。