2月6日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第87回では、インサイダー取引が発覚した投資家の悠人(横山裕)が、雨のなか傘もささずにズブ濡れでさまよい歩く場面が描かれた。そのラストシーンに不吉な予感を抱いた視聴者も少なくなかったという。
悠人は「リーマンショックを予言した天才投資家」として名をあげ、作中の2013年現在ではテレビ出演も多い有名人に。しかし相場全体が上げ基調のなか、彼が手掛けるヘッジファンドの「ショートタームキャピタル」は10%超も下落してしまい、投資家から解約請求が相次いでいた。
そこで一発逆転を狙った悠人は創薬ベンチャー企業のバイオクラウド社に目を付け、アルツハイマー病治療薬の開発に関する重要な非公開情報を入手。株価が急騰する前に株を買い付け、高値で売り抜けていたのである。
「インサイダー取引疑惑が発覚すると、東大阪にある悠人の実家にまで取材陣が押しかけ、妹でヒロインの舞(福原遥)は帰宅すらできなくなりました。しかも悠人の母・めぐみ(永作博美)が社長を務める部品工場にまで記者が張り込むようになったのです」(テレビ誌ライター)
悠人のインサイダー疑惑が本当であれば、逮捕されることは確実。それまで築き上げた名声や信用は一夜にして崩れ去ることだろう。もはや頼るもののなくなった悠人は家族からの電話にも出ることなく、夜の街をさまようことに、最後は人気のない公園で膝をつき、水たまりの上にあおむけで倒れ込んだのだった。
悠人を演じる横山は、ジャニーズの人気グループ「関ジャニ∞」のメンバー。そんな人気者が全身ズブ濡れになり、行き倒れて地面にあおむけになるのも厭わない演技には凄味すら感じられたというものだ。
その悠人に容赦なく打ち付ける雨。12月とあってその雨はとことん冷たく、このままでは命の危険すらありえる。そんな光景に、とあるテレビドラマのワンシーンを思い出した視聴者も少なくなかったのである。
「2019年7月期に放送された『べしゃり暮らし』(テレビ朝日系)は、お笑い業界の人間模様に迫ったドラマ。その第6話ではお笑いコンテストの決勝進出を果たしたコンビ『デジきん』の藤川が、酔っぱらった勢いでパンツ一丁で居酒屋を飛び出し、公園で寝込むことに。折からの雪に全身を覆われた藤川がそのまま凍死するという衝撃的なシーンとなりました。今回の『舞いあがれ!』でも悠人が公園で寝込み、体を冷やすという展開は一緒。それゆえ悠人が凍死してしまうと心配する声があがるのも無理はないのです」(前出・テレビ誌ライター)
果たして悠人は、4年前に心筋梗塞でこの世を去った父・浩太(高橋克典)のもとに旅立ってしまうのか。それとも母めぐみと妹・舞の待つ現世に戻ってくるのか。たとえ塀の中で臭い飯を食うことになっても、悠人には生き延びてほしいと舞も視聴者も願っていることだろう。
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