【舞いあがれ!】岩倉家は毒親か?とことん悠人を悪者扱いする展開に批判続出!

 なぜそこで泣き崩れるのか。美談的な描写に呆れかえる視聴者も少なくなかったようだ。

 2月7日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第88回では、投資家の岩倉悠人(横山裕)が自ら、インサイダー取引に手を染めたことを告白する場面があった。しかしそこまで悠人が追い詰められたのは、家族からの無理解が原因だとニラむ向きも多いという。

 テレビでインサイダー疑惑が報じられた悠人は実家のある東大阪市に戻ってくるも、公園で行き倒れることに。久留美(山下美月)の自宅で介抱されたのち、実家に戻ることとなった。

 母親のめぐみ(永作博美)からインサイダー疑惑について問われると、「やっててもやってへんでも同じことや。一回でもレッテル張られたら、俺は投資家失格や」とはぐらかす。すると妹でヒロインの舞(福原遥)は、亡き父の浩太(高橋克典)が書き残していた日記を、悠人の枕元に置いていったのだった。

「その日記には、部品工場を営んでいた浩太の価値観が書きこまれていました。悠人の投資業については『稼いだお金で何をしたいのか、どういう生き方をしたいのか、悠人の夢が僕には分かれへん』と、無理解を赤裸々に綴っていたのです。続けて『けどいつか分かりたい』とは書いてあるもの、そのためには『僕は自分の夢を捨てたらあかんのや』とも。結局、浩太はものづくりこそが本当の仕事だとみなし、投資業を虚業と見ていたことがあらためて浮き彫りになった形です」(週刊誌記者)

 そんな浩太の姿勢は妻のめぐみや娘の舞にも受け継がれており、作中では常々、岩倉家による悠人への無理解ぶりが見せつけられてきた。あまりに一方的な価値観の押し付けには視聴者の多くも呆れかえっていたものだ。

 それゆえ浩太の日記を読んだ悠人が、父親への反発心を再燃させるかと思いきや、話は真逆の方向へと進む。仏壇の前に座った悠人は、「おやじ、俺のこと分かろうとしてくれてたんやな」と、父親に対して理解を示したのである。

 しまいには「どんだけ後悔したって二度と取り戻されへん」と亡き父親のことを想いながら「おやじ、ごめんな。ごめんな」と謝っていた悠人。制作側としては家族愛あふれる感動シーンを美談として描いたのだろうが、多くの視聴者はそんな岩倉家に白けきっていたのではないだろうか。

「浩太がたった一言、悠人のことを『いつか分かりたい』と書いていただけで、父子のわだかまりが解けるものでしょうか。そもそも岩倉家は常に長男の悠人に厳しく、東大在学中に株式投資で大儲けしようが、『リーマンショックを予言した投資家』として大成功しようが、投資は虚業との態度を取り続けるばかり。悠人を褒めた数少ない場面は、大手電機メーカーのIMORI電機に内定した時に『ええとこ決まったな!』と浩太が驚いた時くらいであり、結局はものづくり至上主義の表れだったのです」(前出・週刊誌記者)

行き倒れていた悠人を心配するめぐみと舞。トップ画像ともに©NHK

 一方でヒロインの舞に対しては、母親の心配を振り切って人力飛行機のパイロットになろうが、大学を中退して航空学校を目指そうが、常に応援するばかり。しまいには航空会社の内定を辞退して実家を手伝うという客観的に見れば愚かしい決断を下した際にも、母親のめぐみは舞を後押ししていた。

 しかし今回のインサイダー取引が表面化するまでは、悠人のほうがはるかに活躍し、経営危機の際には工場を買い取るなど家業にも大きく貢献してきたはずだ。それなのに岩倉家では終始一貫して悠人には厳しく、舞には甘い態度で接していたのである。

「兄妹でこれほどの格差をつけるのは典型的な毒親と言えるでしょう。幼いころは病弱な妹ばかりを可愛がり、勉強のできる兄は放っておかれるばかり。大人になってからも家業のねじ工場に親和的な舞は常に可愛がられ、親の理解できない投資業に就いた悠人には厳しく接してばかりです。しかし今回の第88回では、それほど親からないがしろにされてきた悠人が、なぜか父親を赦すことに。もはや毒親追認とさえ言える筋書きには偏った価値観を称賛することへの空恐ろしさすら感じますね」(前出・週刊誌記者)

 案の定、ネット上では<誰も悠人に謝ってくれない><蔑ろにしていたくせに>といった批判が噴出。悠人の立場に立てば、これほど理不尽な家族もいないだろう。これで次回以降、悠人がどう立ち直っていくのか。またもや偏った家族観を押し付けられるのかと、身構える視聴者も少なくなさそうだ。