【舞いあがれ!】リュー北條と史子が意気投合!恋敵の退場ルートが用意された?

 やはりこの二人が通じ合ったか。そう納得する視聴者も少なくなかったようだ。

 2月16日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」95回では、駆け出し歌人の秋月史子(八木莉可子)が、短歌の解釈を巡って編集者のリュー北條(川島潤哉)と意気投合する場面があった。

 北條は長山短歌賞を受賞した梅津貴司(赤楚衛二)を担当するも、恋の歌を詠めない貴司のサポートに難航。一方で貴司を「梅津先生」と呼ぶ史子は、我こそが一番の理解者を自認し、北條とはぶつかってばかりだ。そんな二人だが、貴司が幼馴染でヒロインの岩倉舞(福原遥)を想って詠んだ短歌に関しては、会話がスイングしていたのである。

 貴司がこれまで恋の歌を作ったことがないとボヤく北條に対し、史子は1首だけあると指摘。それは舞がパイロットをあきらめて工場を継ぐと決心した時に、彼女を応援するために贈った「君が行く 新たな道を 照らすよう 千億の星に 頼んでおいた」という歌だった。

「史子はこの歌が、万葉集に収められている狭野茅上娘子の歌の本歌取りだと指摘。しばし思案した北條はその歌をそらんじてみせ、『別れざるを得なくなった夫への想いか』と語ったところ、嬉しそうな表情で『そうです!』と応えたのでした」(テレビ誌ライター)

 それまでは寝っ転がる北條と、正座して背筋を伸ばす史子のあいだには明らかな対立関係が示されていた。ところが短歌談義が始まると、起き上がった北條とにじり寄った史子は小さなテーブルをはさんで、至近距離に接近。まるで歌人と担当編集者かのように、角を突き合わせていたである。

 史子は恋する乙女の表情を見せながら「先生と私には特別な絆がありますから」と、貴司への秘めたる想いを隠そうともしなかった。その姿は、北條に心を許している証拠ではないだろうか。

 ここで史子が貴司の「慎み」に言及すると、北條は「慎み、いらない。梅津さんには情熱をそのまま歌にしてほしいのよ」とボヤいていた。この反応は史子の言及をを認めたからこそ。貴司という歌人を通して、史子と北條は心を通じ合わせていたのである。

常に貴司を間に挟んでいた史子と北條が、今回は二人きりで話し込んでいた。トップ画像ともに©NHK

「北條は第83回、史子は第89回に初登場して以来、思いのほか出番が多く、もはや主要キャラとなっています。これまでの登場人物にたとえると人力飛行機サークルの先輩たちや、航空学校編のサンダー大河内教官や同期生たちにも匹敵する存在と言えそう。そうなると二人が倉庫入りする際には、大学中退や航空学校卒業という一大イベントに相当する出口を作ってあげる必要がありそうです」(前出・テレビ誌ライター)

 その出口こそが、一部の視聴者が予想している史子の歌人デビューではないだろうか。貴司の歌集を出したい北條は当初、史子をお邪魔虫程度にあしらっていた。ところが歌集づくりは一向に進まず、その一方で今回のやり取りで史子の深い短歌愛を知ることになったのである。

「北條が編集者として史子を支える形になれば、物語から退場する出口をきっちりと用意できます。そうすれば貴司も、歌集出版のプレッシャーから解放されるというもの。そもそも貴司は自分の気持ちを吐き出すために歌を詠んでいたのであり、最初から歌人を目指していたわけではありません。あらためて舞のことを想う気持ちと向き合うために、史子や北條とのやり取りが必要だったのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)

 当初は舞の恋敵として視聴者から疎まれていた史子だが、回を追うにつれて彼女のファンも増えている様子。北條のサポートで史子が歌人デビューを果たせば、ファンの気持ちもしっかりと昇華することができそうだ。