ここにきて伏線だけでなく、登場人物の回収も始まったのかもしれない。
3月1日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第104回では、歌人の梅津貴司(赤楚衛二)がヒロインで妻の舞(福原遥)に、旅連載について打ち明けることに。この展開に期待感を抱く視聴者もいたという。
初の歌集「デラシネの日々」は重版がかかるほどの人気を呼び、近所の公園で開催した子供向けの短歌教室も好評だった貴司。担当編集者のリュー北條(川島潤哉)からは、全国で短歌教室を開きながら、その土地土地で詠んだ歌とエッセーの連載を提案されていた。
「かつては日本中を放浪しながら短歌を詠んでいた貴司。旅連載にも興味はあるものの、舞と結婚して安住の地を得たばかりですし、経営する古書店のデラシネも心配です。妻の舞には『今の生活がどんどん大切になってる』と明かしていましたが、舞からは『けど、旅したいんちゃう?』と反問されていました」(テレビ誌ライター)
舞は東大阪の町工場を繋ぐ仕事に未来を見出しており、新聞記者の御園純(山口紗弥加)と組んで、起業するつもりのようだ。
それなら貴司も舞のことを心配せずに旅に出られそうなもの。だがデラシネには中学生になったばかりの大樹(中須翔真)が出入りしており、デラシネがなくなったら大樹は居場所を失ってしまう。自らも小学生の時からデラシネに通い詰めていたことから、大樹の存在が旅連載に二の足を踏ませていることは確実だろう。
ただ本作では舞や貴司が人生に行き詰った時、誰かが助けてくれるという流れが何度も繰り返されてきた。それゆえ今回も、貴司の旅連載を後押しする人物が現れるに違いないと、視聴者は期待を高めているようだ。
「デラシネはもともと詩人の八木巌(又吉直樹)が営んでいました。放浪の旅に出た八木はいったんデラシネを閉めたものの、新聞で貴司の短歌が入選したことを知り、デラシネの経営を貴司に託したという経緯があります。そうなれば今度は雑誌連載のため旅に出ようとする貴司の代わりに八木が東大阪に舞い戻り、デラシネの経営を継ぐのが、もっとも自然な流れになるはずです」(前出・テレビ誌ライター)
しかも今回の第104回には、八木の出戻りを予感させる描写があった。それは舞の兄で元投資家の岩倉悠人が東大阪に舞い戻ってきた場面だ。
悠人はテレビに出るほどの著名投資家だったが、インサイダー取引に手を染めてしまい、懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を受けていた。判決後にどんな生活を送っていたのかは分からないが、今回、実家の近所に部屋を借り、地元に戻ってきたことが明かされたのである。
「そんな悠人と同様に八木も、貴司の旅連載が始まるという告知を見て、デラシネに舞い戻ってくるのではないでしょうか。前回の第103回では貴司が初任給で買った『ねむれ巴里』という本が再登場するという伏線回収がありましたが、3月に入って最終回が見えてきたいま、今度は悠人や八木といった登場人物が回収される時期になってきたのかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)
そうなると次には舞の元恋人であるパイロットの柏木(目黒蓮)らも回収されるのか。終盤では舞が小3の1学期を過ごした長崎・五島が舞台になることも判明しており、どうやら今後は怒涛の回収劇が展開されることになりそうだ。