この会社の事業計画、どうなってるの? 呆れ顔の視聴者も少なくなかったようだ。
3月8日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第109回では、舞と御園が起業した株式会社こんねくとに超大手インテリアメーカー「SIAZ」のバイヤーが訪問。試作品のランプをぜひ取り扱いたいという望外の申し出があった。
予想外のオファーに呆然とした顔を見せる舞。そこに「思ってもみない話が舞い込んできました」とのナレーションが被さってきたが、視聴者としては<思ってもみなかったのはこっちだよ!>とツッコミを入れたかったところだろう。
こんねくとは東大阪の町工場と人を繋げるために創業。舞たちが新製品を提案し、町工場の技術を持ち寄って完成させるという企画会社の役割を担っている。すでにホームページやSNSは立ち上げており、試作品のランプにはSNS上で「どこで販売してますか?」「1万円やったら買いたいな」といったコメントが寄せられていた。
「ところが御園によると、販売用のホームページはまだ開設していないとのこと。販売できる完成品がないのですから当然といえば当然ですが、そもそも同社ではどんな事業計画を立てているのでしょうか? なにより驚いたのは、試作品のランプを素晴らしい商品だと褒めたバイヤーに対して、御園が『で、今日はどのようなお話で?』と訊ねたことでした」(テレビ誌ライター)
こんねくとが事業会社である以上、製品を販売して売上を立てたいのは当然の話。大手インテリアメーカーのバイヤーが訪ねてきたのなら、鴨が葱を背負って来たくらいの幸運だと喜ぶはずだ。
ところが御園は「どのようなお話で?」とわけのわからない対応をし、一方の舞もバイヤーの申し出に驚きを隠せない様子。これでは二人が何を目的に会社を設立したのか、視聴者にすら分からないのである。
「こんねくとを起業した際には、公的な制度を利用して『創業支援金』を獲得。その際には精緻な事業計画書を提出し、売り上げ見込みも立てていたはずです。ところがふたを開けてみれば最初の製品もまだ試作中で、販路もなし。実績ゼロの会社が販売用ホームページを立ち上げたところで客が来るはずもなく、事業として成り立つとはとても思えません」(前出・テレビ誌ライター)
現在のところ、ランプ以外の製品を企画している様子もないこんねくと。これでは販売ホームページを立ち上げても、そこにはランプひとつだけが売られているという滑稽な状況になりかねない。
インテリアメーカーに卸すのであれば、それなりの数量を納品する必要があり、こんねくとの負担は相当なものになる。それともバイヤーが実績ゼロの会社を相手に、最初から買い取りで商売してくれるような甘々の展開になるのだろうか。
「傍目にはまともな事業計画もなく、販路開拓も行っていない様子のこんねくとは正直なところ、大人のおままごとにしか見えません。しかし舞はねじ工場の営業担当者として、単価を数銭単位でせめぎ合う駆け引きを経験してきたはず。そういったバックグラウンドがまったく見えてこない展開には、町工場のリアルというものがまったく感じられないのです」(前出・テレビ誌ライター)
この調子では視聴者から、こんねくとが何の会社か分からないとの疑問もあがるのも当然だろう。このままあらゆる幸運に恵まれてランプがバカ売れするという筋書きなのであれば、商売や町工場の実態をあまりにも軽くみている物語となってしまいそうだ。