【舞いあがれ!】貴司の「寒ない?」が象徴する、季節感なさすぎの演出とは

 そんなわけないやろ! そう呆れた視聴者も多かったはずだ。

 3月8日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第109回では、東大阪が台風に見舞われることに。ヒロインの舞(福原遥)が、夫の貴司(赤楚衛二)が営む古書店のデラシネで雨宿りする場面があった。そこでの描写があまりにも不自然だったという。

 この回ではラグビーカフェ「ノーサイド」の店内に、ラグビーワールドカップ2015のライブビューイングを告知するポスターが張り出されていた。初戦の日本対南アフリカ戦が9月20日0:45キックオフと明記されるなど現実の日程を反映しており、どうやら作中では9月となっているようだ。

「大阪の9月はまだまだ残暑が厳しく、最高気温が30度を超す日も珍しくありません。それなのに作中の登場人物は全員が長袖を着ており、舞の兄・悠人(横山裕)に至ってはジャケットを羽織っている有様。10月ならともかく9月の服装としてはあまりに不自然でしょう」(テレビ誌ライター)

 舞と貴司は上陸間近の台風に備え、デラシネの入り口にある古いガラス戸に段ボールを張り付けるといった対策を実施。奥の小さな居間に落ち着くも、停電に見舞われていた。

 すると貴司は「寒ない?」といって、座っている舞に毛布を掛けることに。その毛布に一緒にくるまりつつ、新婚夫婦らしい仲睦まじさを見せていた。

「いやいや、9月なのに寒いはずがないでしょう。しかも台風の前後は南からの湿った風により、むしろ蒸し暑くなるもの。普通なら冷房を掛けたくなるところです。季節感がまったく感じられない演出には、二人で毛布にくるまっていてほしいという演出側の意図が透けて見えていたのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)

二人して長袖の舞と久留美。いったい季節はいつなのか。トップ画像ともに©NHK

 この「舞いあがれ!」では時計やカレンダーが映る場面が少なく、作品側がテロップで具体的な日時を示さない限り、何月何日の何時ごろなのかがさっぱり分からないという作風になっている。

 もちろん架空の話なので正確な日時は不要なものの、さすがに季節感のおかしい演出には、視聴者も戸惑うというもの。夏なら夏、秋なら秋と、一目で分かるようにすべきではないだろうか。

「舞が起業した株式会社こんねくとにしても、事務所オープンから何日が経過したのかが分かりません。そのため事業が停滞しているのか、それとも矢継ぎ早に案件が飛び込んできているのかも不明です。それに貴司も旅連載の取材旅行に出かける様子がないですし、まるでカレンダーの存在しない世界を描いているようですね」(前出・テレビ誌ライター)

 それならいっそのこと、日付を明記したラグビーワールドカップのポスターも見せなければ良さそうなもの。首尾一貫しない演出に、視聴者はもやもやを隠しきれないようだ。