【舞いあがれ!】貴司の新刊で伏線を回収!「摘路町」や主題歌の歌詞に隠された意味とは?

 怒涛の勢いで伏線を回収しまくったようだ。

 3月30日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第125回では、時代設定が2020年から2026年へといきなり6年も進むことに。その間、試験飛行目前だった「空飛ぶクルマ」は実用機まで開発が進み、2027年1月には長崎・五島での実用化が始まることとなった。

 その6年間の歩みは、ヒロイン舞(福原遥)の夫で歌人の貴司が著した新刊の歌集「トビウオの記」に記されることに。フランス・パリに住む八木(又吉直樹)が開いたページには、舞が生まれ育った東大阪についても記されていた。

 そのページには、舞の実家がある「摘路町」(つむじまち)の由来が説明されており、さらにはback numberによる主題歌「アイラブユー」の歌詞を想起させる記述もあったという。

「摘路町という地名については、お好み焼うめづの店主・勝(山口智充)が筋金入りの近鉄ファンであることから、同球団の応援歌『近鉄バファローズの歌』の歌詞にある『つむじ風』が由来だと予想する視聴者が多かったもの。もちろんそれも関連していることでしょうが、かつてはグライダーの滑空場もあった東大阪近辺にはつむじ風がよく発生していたことに加え、貴司の本には『つむじ風は舞風とも呼ばれ』との説明もありました。すなわちこの地名は、ヒロインの名前『舞』と密接にかかわっていたのです」(テレビ誌ライター)

 そんな由来に加え、貴司の本には「落ち葉が舞いあがる風景」との記述もあった。本作で落ち葉と言えば、主題歌「バックナンバー」の歌い出しにある「公園の落ち葉が舞って 飛び方を教えてくれている♪」との歌詞が思い出されるというもの。

 その歌詞に「なぜ落ち葉なのか?」と思っていた視聴者にとって、貴司の本は謎ときであり、しっかりと伏線を回収してくれたと感心するところだろう。

パリで貴司の新刊を読む八木。トップ画像ともに©NHK

「貴司の本では舞の実家であるねじ工場についても触れており、そこには『何千億ものネジたちは世界中に旅立って』とのくだりも。この部分からは貴司が舞を応援するために詠んだ短歌『君が行く 新たな道を照らすよう 千億の星に 頼んでおいた』が想起されます。空飛ぶクルマの『かささぎ』には、舞の実家である町工場のIWAKURAで製作したボルトが使われており、そのかささぎを操縦するのはパイロットの資格を持つ舞。まさに千億のネジ(星)が舞の進む新たな道を照らしているというわけです」(前出・テレビ誌ライター)

 そして「かささぎ」については貴司の本でも「織姫と彦星を引き合わせるために空に橋をかけた鳥」と説明されている。隣同士の家に生まれ、お互いの部屋が向かい合っていた舞と貴司。届きそうで届かない二人が結婚に至ったのはきっと、かささぎのおかげなのだろう。

 順番こそ逆かもしれないが、空飛ぶクルマに「かささぎ」と名付けられたこともまた、ヒロイン舞の人生における伏線の回収と言えるかもしれない。残りあと1回となった「舞いあがれ!」。まだ回収しきれていない伏線は何が残っているのか、視聴者としても期待がふくらむところではないだろうか。