3月16日に「AKB48春コンサート2024 in ぴあアリーナMM 柏木由紀卒業コンサート~17年間、歩いて来たこの道~supported by イモトのWiFi」が神奈川・ぴあアリーナMMで開催。AKB48の最年長であり3期生の「ゆきりん」こと柏木由紀を送り出す卒業コンサートとなった
真っ白なドレス衣装でステージに登場し、一曲目には自身のソロ代表曲「火山灰」を歌唱。柏木のこれまでの人生を表す「火山灰」の手書きの歌詞がモニターに映し出された。真っ赤なペンライトに照らされて美しい柏木の姿に会場のファンは思わず息をのんだことだろう。
続いて「ポニーテールとシュシュ」「言い訳Maybe」「大声ダイヤモンド」「シアターの女神」を現役メンバー全員と歌唱。
「シアターの女神」の間奏にて村山彩希は、「私たちにとっての女神はやっぱり由紀さんですよねー!」と叫ぶと、会場から大きな歓声があがった。
MCで向井地美音に今の気持ちを訊かれた柏木は「ドキドキと楽しみとワクワクとが混ざって、でも本当にこの今のAKBのみんなとファンの皆さんと一緒に最高の思い出を作れたらなと思います」とコメント。満員のファンに向けて「最後まで全力で走り抜けたいと思います! 今日は一緒に楽しみましょう!」と呼びかけた姿はまさにアイドル全開だ。
続いては柏木にとって思い出のユニット曲の「スカート、ひらり」「涙の湘南」「ジッパー」「口移しのチョコレート」を立て続けに披露。「てもでもの涙」ではイントロと共に2期生の宮澤佐江が登場だ。歌唱後には宮澤が「結婚しよう!」と告白し、柏木が承諾するという意外な一幕も。これはアイドル卒業後に恋愛解禁となる布石なのか。
続いて、AKB48を盛り上げるべく共に頑張ってきた向井地美音、村山彩希の三人で「思い出のほとんど」を歌唱。曲のラストには二人に向けた期待や感謝を送るメッセージがモニターに表示され、歌い終わると3人は抱き合って笑顔をみせた。
ここでMCとなり、柏木が直々に選んだ“ズッ友MC”の田口愛佳と山根涼羽が登場。現役メンバーに訊いた柏木に関するアンケートを元に進行だ。
柏木の好きなところについて倉野尾成美は「どこから見てもアイドルなところ。見ていると元気になる存在」と回答し、これには山根も「完璧なアイドル」だと賛同。16期生の黒須遥香は「大先輩なのに後輩一人一人のことを知ってくれているところ」をあげ、コンサートの演出ではそれぞれに合ったユニットを割り振ってくれたと後輩思いな一面を披露した。
続いてのブロックでは柏木が、メンバーそれぞれの個性に合った曲をチョイス。村山や倉野尾らと共に「Teacher Teacher」を歌えば、田口らと共に「ロマンス拳銃」を披露。チームBの代表曲「呼び捨てファンタジー」では小栗有以らと可愛いらしいTheアイドルな姿で観客を魅了した。
さらにNMB48兼任時代を想起する「イビサガール」、そしてNGT48兼任時の思い出の楽曲となる「Maxとき315号」では、イントロの時点で観客から歓声が沸き上がっていた。
柏木がYouTube風に語るトーク映像では、1回目の選抜総選挙で9位にランクインした件について言及。コメントする声は泣いている風だったが、涙は流していなかったと告白だ。その流れで今回の卒業コンサートでは泣いたのかを知りたいと、映像のなかからステージ上の自分に語り掛けていた。
続いてはファンも待ち望んだOGとのコラボ。可愛らしい女性たちがワンピース姿で登場したかと思えば、その二人は高城亜樹と倉持明日香。柏木を加えた3人と言えばそう、ユニット「フレンチ・キス」だ。
ここでは「IF」や「カッコ悪い I love you!」を披露しつつ、冠番組「フレンチ・キスのキス旅」では海外ロケでパリなどを訪れた思い出についてトーク。番組スポンサーで今回のコンサートにも協賛しているイモトのWiFiに感謝を示していた。
続けては高橋みなみの登場に会場がどよめくことに。たからかに「AKBーーーっ!」と叫べば、AKB48にとって記念すべき初オリコン1位に輝いた「RIVER」をドロップだ。
さらに二代目総監督の横山由依と「少女たちよ」を披露し、チームPB(プレイボーイ)による「遠距離ポスター」ではオリジナルメンバーの高城、宮澤も参加し、ファンはやんやの喝さい。
そして当時、対決していたチームYJ(ヤングジャンプ)の指原莉乃と峯岸みなみが現われ「Choose me!」を披露。当時を知るファンは涙なしでは観られなかったことだろう。
次のパートでは選抜メンバーたちと2019年の「ジワるDAYS」を披露し、そこから現役メンバーが全員参加して「フライングゲット」「君と虹と太陽と」「10年桜」と時代をさかのぼっていく構成。撮影可能タイムも設けられ、ファンに笑顔を届けようとファンサービスの連発だ。
するとステージには「Green Flash」のイントロが流れ、共にダブルセンターを務めた小嶋陽菜が登場。思い出が詰まった自身初のセンター曲を緑のペンライトに照らされながらしっとりと歌いあげた。
本編のラストを締めたのは初の単独センター曲にして卒業シングルの「カラコンウインク」。大盛り上がりのなかで本編が幕を閉じると会場は大きな「ゆきりん」コールに包まれ、スクリーンには柏木の軌跡を紹介する映像が流れた。
17年ぶんの思い出にファンが感慨にふけるなか、ピンクの華やかな卒業ドレスに身を包んだ柏木が再登場。「卒業してもみなさんの前ではアイドルでいさせてください」とお願いしつつ、「こんなにたくさんのアイドルがいる中でAKB48を選んでくれて本当にありがとうございます」「今のAKB48が最強で最高だと心の底から思っています」とファンへの深い感謝を口にした。
ここで披露したのは「カラコンウインク」のカップリング曲で、17年間のAKB人生を締めくくる卒業ソングの「最後の最後まで」。途中では感極まってしまい、一瞬だけ歌えなくなる場面もあるなど、柏木らしいしっとりとした歌声で観客を魅了した。
ここで「チームB集合!」との掛け声をかけると、1期生も含めた初代チームBのメンバーが集結。披露したのはチームB 3rd公演のオープニング曲である「初日」だ。そのまま現役メンバーも全員登場し、「約束よ」ではドレス姿でセンターステージに向かって歩きながら歌唱。美しい晴れ姿で遠くの席に座るファンまで魅了した。
アンコールのラス前には、OGも含めて本日の出場メンバー全員が勢ぞろいし、卒業コンサートの定番曲である「桜の花びらたち」を披露。そして最後の楽曲に選んだのは、この日二回目の歌唱となる「遠距離ポスター」だった。3時間に及んだコンサートで柏木は「みなさんまだまだ声出せますか?!」とファンを煽りつつ、“アイドルゆきりん”らしさ全開でのパフォーマンスだ。
いよいよ全曲を披露し終わり、あとはステージを去るだけ。ここで花道の中央部が段々とせり上がり、背景のスクリーンに映し出されたお城のゲートへと続く長大な階段が登場だ。
その階段を一段ずつ踏みしめるように歩んでいく柏木。お城の前では現役メンバー全員から一輪ずつ花を受け取りながら、笑顔はキープしたままの姿がいかにもゆきりんらしいではないか。
最後はお城のゲート前に立ちつつ、満員の会場を感慨深そうに眺める。ここで二枚の大型スクリーンがドアのようにゆっくりと閉まり、柏木はステージを去っていった。最初から最後まで“アイドル”であり続けることを体現した見事な卒業コンサートだった。
(取材:渋谷のぞみ、遠藤葵/撮影:Issey Nakanishi)