峯岸みなみが卒業コンサートで克服した「前田敦子にセンターを奪われた日」

 こんなに幸せな卒コンが観られるとは! 5月22日に横浜のぴあアリーナMMで開催された「峯岸みなみ卒業コンサート ~桜の咲かない春はない~」にて、AKB48に残っていた“最後の1期生”である峯岸みなみが グループ卒業を果たした。

 この日は本編とアンコールの計33曲すべてに峯岸が出演し、まさに「みぃちゃん無双」の構成となっていた。それでいて卒コンながらソロ歌唱を見せたのはノースリーブス時のソロ曲「私は私」ただ1曲のみ。そのセットリストには、卒コンを前に「AKBの中間管理職としての最後で最大のお仕事」と語るなど、1期生と後輩たちを繋ぐという役割を自認していた峯岸らしさが全開になっていた。

「中盤以降では『上からマリコ』で篠田麻里子が、『ヘビーローテーション』で大島優子がセンターを務めるなど、主役の峯岸があえて脇を固めるポジションに回る場面もありました。それはAKB48の人気曲を、そのままの形でファンに届けたいという峯岸の想いが伝わった場面だったように感じました」(アイドル誌ライター)

卒業コンサートでファンに手を振る峯岸みなみ。©AKB48

 その峯岸が前半でセンターを譲っていたのが、劇場公演曲の「渚のCHERRY」。2番目の劇場公演であるチームA 2nd Stage「会いたかった」内の1曲で、AKB48として初めてセンターを明確に定めた曲として知られている。このパフォーマンスに、峯岸の強い気持ちが込められていたというのである。

「同曲では峯岸、大家志津香、宮崎美穂の3人が登場。峯岸がセンターで歌い出すも、背後から2015年加入の千葉恵里が飛び出してきて、峯岸を払い飛ばすようにしてセンターに収まったのです。峯岸は一瞬、混乱したような表情を見せるも、すぐに落ち着いて千葉のバックダンサー役に徹することに。この場面に初期のAKB48を知るファンは感動を覚えていたことでしょう」(現地取材した女子大生ライター)

「渚のCHERRY」で峯岸は最初センターで踊っていたが…。Photo by Issey Nakanishi

後から来た千葉恵里にセンターを譲ることに。衣装の色も2006年当時と一緒だ。Photo by Issey Nakanishi

「渚のCHERRY」のオリジナルメンバーは峯岸のほか、前田敦子、平嶋夏海、増山加弥乃の4人。レコーディングにはまず前田以外の3人が呼ばれ、渡された歌詞にはサビ部分のコーラスのみが記載されていた。衣装も前田だけに違うものが用意され、自分たちがセンター前田のバックダンサーであることを思い知らされたのである。

「この一件に大きなショックを受けた峯岸でしたが、やがて『いまでは踊ることが私の役目だと思うようになりました』と語っていたように、自分のなかで昇華していたようです。そして今回の卒コンでは、彼女が最も可愛がっている後輩の一人である千葉恵里に主役を譲り、自分がセンターから弾き飛ばされるという寸劇まで盛り込んでみせました。この演出は、かつてのショックを完全に克服したからこそ見せることができたに違いありません。すなわち、峯岸みなみというアイドルの強さと決意を示した場面だったと言えるでしょう」(前出・アイドル誌ライター)

ライブでは終始、後輩たちに慕われている様子が伝わってきた。©AKB48

 アイドルとして最後の舞台にて「前田敦子にセンターを奪われた日」を完全に克服した姿を見せてくれた峯岸。前田は出演舞台のゲネプロと被ってしまったために残念ながら卒コンを欠席していたが、彼女も今回の「渚のCHERRY」には万感の思いを抱いたに違いないだろう。

(取材:山本菜摘)