そのぎこちない演技に、有村架純の凄みがにじみ出ていたのではないだろうか。
5月22日放送のドラマ「コントが始まる」(日本テレビ系)の第6話では、お笑いトリオ「マクベス」のメンバーで、酒屋の息子である潤平(仲野太賀)が物語の中心に。高校時代から付き合っているバリキャリの奈津美(芳根京子)との結婚を視野に入れつつ、マクベスがなくなったら自分との交際を続けてくれるのかに悩む姿が描かれていた。
そんな二人の仲を案じた春斗(菅田将暉)は、奈津美にサプライズを演じさせようと一計を案じることに。そのシーンで見せた有村架純の“わざとらしい演技”が、女優としての実力を見せつけたというのである。
「マクベスの大ファンである里穂子(有村)は春斗のプランに協力し、自分の部屋を餃子パーティーに開放しました。玄関に入った潤平は、そのままお上がりくださいという里穂子に対して『前回足を洗って今回洗わないという選択肢はないから』と風呂場の利用をリクエスト。すると里穂子は『そうおっしゃると思いましたよー。洗濯機の上にタオル置いてあるので、ご自由にお使いください』と返したのですが、そのセリフがなんとも棒読みだったのです」(テレビ誌ライター)
なかには、その棒読みぶりに有村の演技力を疑問視する視聴者もいたかもしれない。だがこのぎこちないセリフ回しこそが、絶妙な演技だったというのである。
「有村があえて棒読み口調で風呂場を促したことにより、勘のいい視聴者は《風呂場に何かあるのでは?》と気づくことができたはず。案の定、風呂場では芳根がバスタブの中からウェットスーツ姿で現れて、仲野を驚かせていました。それに加えて、劇中での有村はあくまでただの一般人。あまりにも達者なセリフ回しで仲野を風呂場に促していたら、《素人なのに妙に芸達者》という不自然さを生じていたことでしょう。この場面であえて棒読み口調を繰り出せる有村の演技力には、もはや凄みすら感じられましたね」(前出・テレビ誌ライター)
20代の若者5人を中心とした群像劇の「コントが始まる」。不器用な若者たちを等身大で演じられる有村らの演技力が、本作にリアリティを与えているのは確実だろう。