ドラゴン桜、小学生にも分かるミスを吹き飛ばした爽快感!

 設定に多少のミスがあろうとも、気迫あふれる演技がすべてを吹き飛ばしてくれたようだ。

 5月23日に第5話が放送されたドラマ「ドラゴン桜」(TBS系)では、東大合格を目指す「東大専科」に虫を愛する健太(細田佳央太)が加入。成績優秀ながら東大専科に敵意を持つ遼(鈴鹿央士)を相手にテスト対決で勝利する場面が描かれた。

 その健太は発達障害を抱えるものの、非常に高い知能を持ち、東大専科を率いる弁護士の桜木建二(阿部寛)のサポートでその才能が開花。だがテスト対決の直前に遼の策略により、テスト会場から逃げ出してしまう場面が描かれていた。そのシーンにて、小学生にも分かる設定ミスがあったというのだ。

「遼はテスト当日の朝、健太に虫を解剖する動画を見せつつ『東大に行ったら虫を殺すことになる』と吹き込み、東大専科から抜けるように仕向けました。それを真に受けた健太はテストを受けずに海に向かい、迎えに来た桜木と幼馴染の麻里(志田彩良)に『みんなみたいにできない。簡単なこともできない。みんなの邪魔になる。迷惑になる。ボクは要らない…』と告げたのです」(テレビ誌ライター)

 すると桜木は「要らない生命か。そんなもんあるわけねえだろ!」と喝破し、「人間の都合で簡単に殺される虫も、生きているだけでジャマなのか!? 害なのか?」と詰め寄ることに。すると健太は「違う違う違う! 生きているだけで害になる生き物は地球上にはいない」と必死の反論だ。

 それに対して桜木が「社会を変えろ、常識を変えろ、虫と共生できる未来を作ればいい!」と畳みかけると、健太は「どうやって?」と反問。ここで桜木は「研究者になればいい。俺が東大に入れてやる」と東大専科への復帰を促し、「分かった。僕、東大に行く!」と健太を翻意させていたのである。

虫を愛する健太と幼馴染の麻里。麻里の膝丈スカートが真面目さを表す記号となっている。ドラマ「ドラゴン桜」公式インスタグラム(@dragonzakuratbs)より。

「この日は小学生の娘と一緒に観ていたのですが、このやり取りに彼女は『耳から聞いたことは理解できないんじゃなかったの?』と、もっともな疑問を口にすることに。というのも物語の前半では健太の特質として、目で見たものはたちどころに理解できるのに、耳から聞いたことだと簡単な引き算すらできないと紹介していたからです。しかしこの場面では桜木の観念的な説得をあっという間に理解できており、前半で示した人物設定がいとも簡単に覆されていました」(女性誌ライター)

 そんな設定ミスすらも、桜木の気迫あふれる説得により健太の心が変わっていく場面を目の当たりにすれば、ほとんど気にならなくなっていたはず。そして健太が自分の才能を発揮し、数学の受験問題で高得点をあげたシーンには、ほとんどの視聴者が爽快感を抱いていたことだろう。

「この『ドラゴン桜』では毎回、桜木が畳みかけるような弁舌で周囲を巻き込み、納得させるシーンが見どころ。桜木を演じる阿部寛の演技力や存在感による力技に加え、今回は健太という難しい役どころを見事に描き出している細田の演技力や、その健太を支える麻里(志田)の甲斐甲斐しさが視聴者の心を打ちました。次回以降も無理のある設定が顔を出す場面もあるかもしれませんが、それを完全に帳消しにしてくれる演技こそが『ドラゴン桜』の見どころの一つでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

 次回の第6話では、大学に行かないと公言している麻里が翻意して東大専科に入ってくれるのか。視聴者の期待はますます高まっていきそうだ。

※トップ画像は志田彩良公式インスタグラム(@sarashida_official)より。