今回もまた、ドラマの内容に心をぎゅっと締め付けられる視聴者がいたようだ。
5月30日に放送されたドラマ「ドラゴン桜」(TBS系)の第6話では、文系トップの成績を誇る小杉麻里(志田彩良)の家庭環境に焦点が当たることに。麻里の父親は女性の高学歴に価値を認めず、「お前のためを思って言ってやってるんだ」と言いつつも、娘を暴言と力で支配する典型的な“毒親”だった。
「本作ではバドミントン選手の岩崎楓(平手友梨奈)も、彼女に過度な期待を掛ける元バドミントン選手の両親という毒親を持つ子供として描かれています。その楓は、麻里の父親が娘を退学させると学校側にネジこんできた件に関して『でも私なんとなく分かる。父親に逆らえない感じ』と理解を示していました。親という立場を利用して子供を支配している親に当の子供が逆らうのは相当に困難なことであり、楓のように『親には逆らえない』と刷り込まれてしまうケースは後を絶たないのです」(毒親問題に詳しい女性誌ライター)
それらのシーンに、毒親の元で育った経験を持つ視聴者は息苦しくなるほどに心を締め付けられていたようだ。ただ本作では、そんな苦境を脱するヒントも提示していたのである。
東大専科に2泊3日の合宿訓練を課した主人公の桜木建二(阿部寛)は、初日の内容を「自由」とし、生徒の自主性に任せることに。その指示を不満に思った弁護士の水野直美(長澤まさみ)に対して桜木は「強制と服従の時代は終わったんだ。あいつらにはな、いまの子供の価値観がある」と喝破。大人の役割は「子供の価値を認めること。認めたうえで信じてやる」の2つだけだと強調したのである。
そんな桜木、そして一緒に勉強する東大専科の仲間たちの言葉を受け、麻里は父親に対して「東大に行きたい!」と直訴。一方で父親はかつて祖父の会社が倒産したことで苦しい時期があり、その姿を知る麻里が「こんなお父さんでも、世界にたった一人だけのお父さんだから」と涙ながらに訴えていたことを知り、改心することとなった。
「正直なところ、毒親がこんな簡単に考え方を変えるケースはほとんどありません。しかし毒親経験を持つ視聴者は、麻里の父親のように子供のことを理解して改心してくれる姿に期待しながら育っているのです。それゆえ今回のエピソードは現在進行形で毒親問題に悩む視聴者に、一縷の望みを与えたことでしょう。もちろん、そう簡単には解決しないのが毒親問題ですが、少なくても『東大に行くことで解決できる可能性がある』という道筋を示したことだけでも、意味があったと言えるのではないでしょうか」(前出・女性誌ライター)
自分を退学させようとする父親に対し、吹っ切れた目つきで堂々と「東大に行きたい!」と言い切った麻里。そんな麻里のことを全力でサポートする東大専科の仲間と先生たち。彼らの毅然とした姿は、毒親を克服するための教科書的な役割を見せていたのかもしれない。
※トップ画像は志田彩良公式インスタグラム(@sarashida_official)より。