大豆田とわ子、脚本家は9年前からこの名前にこだわっていた?

 6月15日に最終回を迎えたドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(フジテレビ系)が、放送終了後もファンを魅了し続けているようだ。

 翌16日には番組の公式インスタグラムにオフショットを掲載。主演のとわ子(松たか子)と娘の唄(豊嶋花)、そしてとわ子の母親が心を寄せていた恋人のまーさんこと真(風吹ジュン)の3人が写った写真に、視聴者からは<グッときました><素敵なご縁に感動しました>といった声が多数寄せられていた。

 同日の夜にはとわ子と三人の元夫たちによる「4人それぞれ」というオフショットも投稿。「更新最後に20万フォロワー」と最後の投稿であることを明かしつつ、「何かお知らせがある時は投稿あるかもです」とも綴っており、本作のファンはまだまだ大豆田とわ子の魅力から離れることはできなそうだ。

最終回のオフショット。風吹ジュンが69歳なことに驚く視聴者も多かったことだろう。トップ画像ともにドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」公式インスタグラム(@omamedatowako)より。

「終盤にかけていろんな謎が解き明かされてきた本作ですが、最後まで視聴者が頭を悩ませていたのが『大豆田』という変わった苗字の由来です。有力な説は、元夫の三人が田中、佐藤、中村というありふれた苗字なことから、それと対比させるためにあえて全国に70人しかいない珍しい名前を採用したというもの。第7話からは小鳥遊(たかなし、演:オダギリジョー)という、これまた全国に30人しかいない苗字の人物が登場したことも、この説を強めています」(テレビ誌ライター)

 果たして脚本を担当した売れっ子脚本家の坂元裕二氏は、どんな理由から「大豆田」姓を採用したのだろうか。その坂元氏の作品に詳しい女性誌ライターは、意外なところにヒントがあると指摘する。

「坂元氏の脚本・演出で2012年に上演された『不帰の初恋、海老名SA』という朗読劇には、『豆生田』なる人物が登場しているのです。こちらも全国におよそ200人という珍しい苗字で、大豆田とともに栃木県・旧下野国に由来する『大豆生田』という姓から派生した名前なのだとか。しかも坂元氏は2年後の2014年に上演した『カラシニコフ不倫海峡』という別の朗読劇にも、豆生田を登場させています。この二作品は設定も登場人物もまったく別々なのですが、なぜか豆生田だけは両作品に共通しているのが不思議です」

 両作品での豆生田は、登場人物が第三者として名前を挙げるだけに留まっており、劇中には出演していない。しかしながら「まみゅうだ」という独特な音は観客の心に深く印象付けられていたのではないだろうか。

「この豆生田という姓は、言語学者の金田一春彦氏によると、伝統的な日本人の名前としては唯一『みゅ』の音を含むという特徴を持っているそうです。そんな特異性に坂元氏が惹かれたかどうかは分かりませんが、その豆生田といわば兄弟と言える『大豆田』をドラマのヒロインに採用したのは、単なる偶然ではなく、なんらかの意図が込められていたのではないでしょうか」(前出・女性誌ライター)

 これらの朗読劇は「往復書簡」というタイトルで2017年に書籍化されており、そこでも「豆生田」という名前を確認することができる。坂元氏のファンならずとも、目を通してみるのはいかがだろうか。