東京五輪で7月29日、卓球女子シングルスの3位決定戦で伊藤美誠選手がシンガポールのユー・モンユーを下して銅メダルを獲得。五輪の卓球女子シングルスで日本勢として初のメダルをゲットした。
午前中の準決勝では残念ながら、中国の孫穎莎に敗退。ただ3日前の7月26日には混合ダブルスで中国ペアに勝利し、日本卓球界で初となる五輪の金メダルを獲得していたこともあって、中国国内では伊藤の強さを前提とした議論が沸騰していたようだ。
「中国メディアは《伊藤美誠大壊敗》と最大級の表現で試合結果を報道。試合後には必死の苦笑いを見せていたといった論調もありましたが、すべては現地で“大魔王”と呼ばれるほどの強さに戦慄し、畏怖の念を抱いていた証拠でしょう。そんな伊藤を巡って中国では新たなネットスラングが生まれていたようです」(スポーツライター)
■莎気騰騰
元々は、殺伐とした・殺気立つといった意味の「殺気騰騰」という成句があり、今回対戦した孫穎莎選手の「莎」と「殺」が同じ発音(sha)になることから、孫選手が試合中に見せる殺伐とした雰囲気を表す言葉として生み出されたという。
このネットスラングは孫選手が台頭してきた2年ほど前から中国国内で使われるようになっていたが、今回の伊藤戦にてあらためて注目され、多用されるようになったようだ。
■你媽騙你
こちらは「あなたのお母さんがあなたを騙す」という意味。幼少時の伊藤選手が眠っている枕もとで、母親の美乃りさんが<中国に勝てるのはあなただけよ>などとささやいていたとの逸話が元になっている。
暗示をかけることで伊藤選手に自信を持たせ、有力選手に成長したものの、今回の女子シングル準決勝では中国選手に負けてしまったことで、そのささやきが嘘だったという意味を持たせているようだ。
この言葉、いかにもネットスラングらしい品のない表現ではあるが、母親のエピソードが中国でも知られるほどに、伊藤選手が中国卓球界にとって大きな壁になっている証拠だと言えるのかもしれない。