【カムカムエヴリバディ】深津絵里が一瞬のうちに1年の時空を飛び越えていた!?

 あれ、日付が合わないんじゃ…。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の視聴者から、そんな疑問の声が漏れていたようだ。

 1月12日放送の50話では、ジャズ喫茶「ナイト・アンド・デイ」にて「関西ジャズトランペットニューセッション」と題したイベントが開催されることに。大手音楽事務所が主催する関西ナンバーワンのトランぺッターを決めるコンテストで、優勝者には副賞として東京・銀座の一流クラブでステージ出演、そしてレコードデビューという大チャンスが与えられるという。

 この報せにキザな若手トランぺッターのトミー(早乙女太一)は「ついに俺の時代が来た!」と大興奮。女子大生のベリー(市川実日子)はライバルのジョー(オダギリジョー)が勝つに決まっているとトミーをなじるも、当のジョーは「そやけど、僕は出えへんよ」とニベもない。その台詞にトミーがいら立ち…といった物語の裏で、視聴者からはこんな声があがっていたのである。

「コンテストの日付は8月10日。しかし『カムカムエヴリバディ』ではつい先日まで、8月11日に開催された『サマーフェスティバル』の様子を放送していました。これはよもや、制作側が時系列を見誤る凡ミスをしでかしたのではと、首をかしげる視聴者がいたのも無理はないでしょう」(テレビ誌ライター)

 しかしその疑問にはちゃんとした答えがあった。というのもコンテストの8月10日とサマーフェスティバルの8月11日は両方とも土曜日。その曜日と日付から逆算すると、サマーフェスティバルは昭和37年(1962年)8月の開催で、コンテストは昭和38年(1963年)8月の開催だったことになる。つまり両イベントの時系列は正しく描写されていたわけだ。

 しかし作中で出演者が着ているのは常に夏服。しかもナレーションなどには一切、「年が改まった」とか「翌年」といった表現は出てきていない。そうなるとやはり、単純な時代設定ミスの可能性もありそうだが…。

「作中にはさりげなく、時計の針が1年進んだことを示す演出が施されていました。49話ではヒロインのるい(深津絵里)がクリーニング店の店番中にジョーから貸してもらったジャズ専門誌を読み込んでおり、背後のカレンダーは昭和37年8月を表示。その時、店の前を女の子連れでお腹の大きな妊婦さんが通り過ぎます。ここで場面が切り変わると今度は同じお母さんがベビーカーを押して歩いており、女の子が赤ちゃんをあやしていました。この一瞬で、物語の舞台は1年後の夏に飛んでいたのです」(前出・テレビ誌ライター)

 この前後を見比べると、るいの短かった横髪があごから垂れるほどに伸びているのも分かる。また、ベリーがジョーを映画「ハワイの若大将」に誘う場面もあるが、同作品はまさに昭和38年8月の封切。このように関西ジャズトランペットニューセッションは間違いなく、昭和38年に開催されていたことになる。

昭和38年封切りの映画にジョーを誘うも断られていたベリー。彼女の片思いも年単位で続いているようだ。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター(@asadora_bk_nhk)より。

「これで時系列の問題は解決されましたが、それでも疑問は残ります。というのは昭和38年夏の場面になってからジョーが、『こないだのジャズジャーナルどうやった?』と、1年前に貸した雑誌の感想を訊いてきたからです。るいはジョーから預かった洗濯物を毎回届けていますから、二人が会話を交わす機会はいくらでもあったはず。それがまるで、ジャズ雑誌を貸し借りしてから初めて会ったかのような会話には、違和感を抱かざるをえませんでした」(前出・テレビ誌ライター)

 ちなみに49話が放送された1月11日は、主役の深津絵里にとって49歳の誕生日だった。どうやらヒロインがひとつ歳を取ったのに合わせて、物語も1年の時空を飛び超えていたのかもしれない。