【カムカムエヴリバディ】るいと一子の茶室シーンに「こんなところにも粋な演出が」と驚きの声!

 1960年代を舞台に物語が進んでいるNHK連続テレビ小説の「カムカムエヴリバディ」。劇中では当時の世相を細かく再現しているほか、小粋な演出もちりばめられていると評判だ。そのなかに、なんとも粋な演出が隠されていたという。

 1月28日放送の第62話では、イワシを買いに行った錠一郎(オダギリジョー)が「売り切れとった」として、魚屋に薦められた鯛を代わりに買ってきたと告白。そのズレた金銭感覚にヒロインのるい(深津絵里)は「ちょっと想像を超えてました」と呆れていたようだ。

 るいは二人の友人である一子(市川実日子)の家を訪れ、茶をいただくことに。京都のいいとこの娘で、母親が茶道の先生だという一子は、立派な茶室でるいに茶を振る舞っていた。ここで一子は自分が結婚することをるいに打ち明けていたが、この場面に秘められた演出に感心する視聴者もいたという。

「茶室の床の間には立派な掛け軸が。二日前に放送された第60回ではるい夫婦が同じ茶室を訪れていましたが、実はその時と掛け軸が替わっていたのです。茶室の掛け軸は主人の気持ちや茶席の趣旨を伝える役割を担っており、その日の状況に応じて掛け替えるもの。そんな掛け軸の変化は、物語の流れに見事に沿ったものとなっていました」(テレビ誌ライター)

 第60回でるい夫婦が訪れた時には「高山流水」と書かれた掛け軸が掛けられていた。これは琴の名手が高い山を想って弾いた故事に由来しており、素晴らしい音楽のたとえであるほか、自分の気持ちを理解してくれる親友という意味も込められている。それは関西一のトランぺッターに選ばれた錠一郎のことであり、さらには病気で演奏できなくなった錠一郎と彼を支える妻のるいに対する友人・一子の想いも表していたと言えるだろう。

茶道を嗜む一子は和服の着こなしも見事だ。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター(@asadora_bk_nhk)より。

 そして今回の第62話では「露堂々」という掛け軸が。これは「明歴々露堂々」という言葉の一部で、元々の意味は歴々と明らかに、堂々と露わるというもの。真理は奥深く隠れているのではなく、実際には堂々と明らかになっていることを表しており、そこから転じて真理が見えないのであれば、それは見る側の目が曇っているからとの意味もあるという。

「それはまるで、るいへのメッセージではないでしょうか。夫の錠一郎はなかなか複雑な人物ではありますが、その本当の姿は日々の行動に正直に表れています。金銭に無頓着だったり仕事に不器用な面もあれば、周りの人とすぐに打ち解けたり、るいを心から愛しているのもまた真実。そんな錠一郎をるいはありのままに受け入れていくというメッセージに思えるのです」(前出・テレビ誌ライター)

 今後も一子の茶室にどんな掛け軸が掛けられているのか、ぜひ注目していきたいところだろう。