【カムカムエヴリバディ】まさかの山口百恵だった?福引の一等が「熱海旅行」の謎!

 京都が舞台なのになぜ「熱海旅行」なのか? 視聴者からそんな声もあがっていたようだ。

 2月4日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第67話では、ヒロインの大月ひなた(新津ちせ)が父親の錠一郎(オダギリジョー)とともに商店街の福引に挑戦。その一等賞が視聴者の注目を集めたという。

 英語教室に通いたいひなただが、月謝が相当高いようで最初からあきらめ顔。すると錠一郎は福引で一等の熱海旅行を引き当て、それをお金に換えればいいと提案だ。結局、一等を引き当てることはできなかったものの、この場面に疑問を抱く声もあったという。

「ひなた編の舞台は京都。その京都で一等賞として温泉旅行をプレゼントするなら、普通なら和歌山県の南紀白浜が相場でしょう。ほかには日本海にほど近い兵庫県の城崎温泉や、近鉄一本で行ける三重県の鳥羽温泉あたりも候補ですが、さすがに遠く離れた静岡県の熱海温泉は、当の京都人にもピンと来ないのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)

 その場面では「熱海旅行」の文字を見たひなたが「ねっかいりょこう」と読んでおり、京都の子供にとっては馴染みのない地名であることを示している。それに福引を主催している商店街の会長は、堅物で知られる荒物屋あかにしの店主・吉右衛門だ。

 そうなると一等が熱海旅行なのはますます謎。これがNHK東京放送局制作の朝ドラなら<京都が舞台なのに熱海はないだろう>となるところだが、本作はNHK大阪放送局の制作とあって、そこには何らかの意図が隠されているのではないだろうか。

「その答えはおそらく、山口百恵にあります。昭和48年デビューの彼女は、本作の舞台である昭和51年時点ですでに日本中で知らぬ者のいない大スターに成長。物語の昭和51年3月時点では、主演ドラマ『赤い疑惑』が絶賛放送中でした。そして山口は、熱海旅行がブームになるキッカケにもなっていたのです」(芸能ライター)

 山口の初主演映画「伊豆の踊子」は昭和49年12月に公開され、昭和50年度の映画ランキングで3位に食い込むヒット作となっていた。熱海など伊豆を舞台にした同作のヒットにより、熱海には昭和30年代の新婚旅行ブーム以来となる新たなブームが発生。新幹線の駅があることも幸いし、首都圏のみならず名古屋や京阪神からも旅行者を集めていたのだった。

初主演映画「伊豆の踊子」で映画女優としての地位も確立した山口百恵。公開時点でまだ高一の若さだった。

「それゆえ本作にも『伊豆の踊子』のポスターが登場してほしいところですが、同映画は東宝の作品。このカムカムでは東映(作中では条映)が重要な役割を果たしているので、ライバル会社の映画はさすがに扱えないでしょう。ともあれ昭和50年代を覚えている世代の人たちは《そうか、山口百恵だ!》と膝を打っているかもしれません」(前出・芸能ライター)

 どうやら「カムカムエヴリバディ」の制作陣は相当、昭和50年代のことを調べ上げているようだ。