誰しもが、ひなたが高三であることをごく自然に受け入れているようだ。
放送中のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」では、女優の川栄李奈がヒロインの大月ひなたを好演。以前は新津ちせ演じる小学5年生だったひなたが、2月10日放送の第71話ではいきなり高校3年生に成長しており、卒業後の進路に悩む姿が描かれている。
2月18日放送の第77話でひなたは、時代劇ドラマ「破天荒将軍」の撮影現場を見学。姫役で出演している美咲すみれ(安達祐実)の棒演技にスタッフ一同が頭を抱えるなか、幼いころから茶道に親しんできたひなたは美咲の茶杓を使う仕草が間違っていると余計なアドバイスをしてしまい、さらに現場を混乱させたのだった。
「美咲がへそを曲げてしまうなか、ひなたをバカ呼ばわりしていた時代劇俳優の卵である五十嵐(本郷奏多)が割って入ることに。すると二人は美咲が出演していた人気時代劇『棗黍之丞』シリーズの『黍之丞危機一髪 おゆみ命がけ』という回について熱く語り始め、その様子を再現。すっかり演技に入り込んでしまい、二人で手を取り合って見つめ合う始末です。監督からは『おい! そこの二人、つまみ出し』との指示が出たものの、二人のおかげで場の雰囲気が一気に良くなり、丸く収まったのでした」(テレビ誌ライター)
それまでお互いに嫌いあっていた様子のひなたと五十嵐だが、演技に熱が入るあまり手を取り合うなど大接近することに。撮影現場からつまみ出された後もお互いに文句を言いつつ、休憩所では二人きりになっていた。
ひなたにとって初めての恋が進展しそうなこの場面。川栄はまだ誰とも恋をしたことのないひなたを好演しているが、そんな川栄の姿に感心する視聴者もいるというのだ。
「27歳の川栄が18歳のひなたを違和感なく演じているところからして驚きですが、さらに驚くべきは当の川栄が既婚者であり、2019年11月に第一子を出産したママさんでもあるということ。川栄の出産は当時でこそニュースになったものの、彼女が子供の性別も明かしていないこともあり、子持ちであることを覚えている人は少なそうです。それこそアイドルに興味のない層の視聴者は、元AKB48の川栄が実は子持ちだと知ったら腰を抜かさんばかりに驚くことでしょう」(アイドル誌ライター)
2015年8月に20歳でAKB48を卒業した川栄は、すぐに舞台「AZUMI 幕末編」で主役のあずみを演じるなど、女優としてロケットスタートを切ることに。翌2016年には早くもNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」に出演するなど順調な女優人生を歩み始めていた。
2019年にはNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」にも出演。若手きっての人気女優として活躍する一方で、同年5月には俳優・廣瀬智紀とのおめでた婚を発表。11月に第一子を出産していたのである。
「朝ドラでの“ママさんヒロイン”は、2018年後期の『まんぷく』で安藤サクラが務めて以来、史上二人目。安藤は当時32歳だったので、20代のママさんヒロインは川栄が第一号となります。そんな川栄の活躍は働き改革や多様性の象徴であるとも言えるのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
この「カムカムエヴリバディ」では朝ドラ史上で初めて3人のヒロインがバトンタッチしていく方式。安子、るい、ひなたの3人が世代を受け継いでいく本作にて、最後のひなたを演じる川栄だけがママさんヒロインであることもまた、さらに世代が受け継がれていくであろうことを象徴しているのかもしれない。