オーディション本番を前に、ひなたの口調が変わった!? そこに女心の変化が表れていたのかもしれない。
2月25日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第82話では、映画「妖術七変化!隠れ里の決闘」の敵役オーディションに、時代劇俳優の卵である五十嵐文四郎(本郷奏多)が挑む場面が描かれた。
時代劇俳優を目指すため、東京の実家を飛び出して京都の俳優養成所に入所した五十嵐。養成所を卒業したいまは条映撮影所の近くで一人暮らしをしているという。その言葉はいまだに標準語そのままで、一人だけ周りから浮いた感じだ。
「ヒロインで映画村職員の大月ひなた(川栄李奈)とは憎まれ口を叩きながらもだんだんと打ち解けてきた五十嵐ですが、京都生まれで京ことばを話すひなたと、標準語で押し通す五十嵐の対比は明らか。五十嵐は何かにつけてひなたを『バカ』呼ばわりし、対するひなたが『アホ』と言い放つ姿は、東西でバカとアホの使い方が違う様子をよく表しています」(テレビ誌ライター)
ひなたの母親が営む「回転焼 大月」の常連でもある五十嵐。最初は母親の不在時に来店した五十嵐が、ろくに店番もできないひなたをバカ呼ばわりする最悪の出会いだったが、映画村職員と駆け出し俳優として交流を続けていくうちに、世代が近いこともあってか二人の距離は縮まってきた。
いつしか、食うものも食わずに稽古に励む五十嵐を応援するようになったひなた。今回の第82話では、大部屋俳優の大先輩である伴虚無蔵(松重豊)に稽古をつけてくれるよう五十嵐が頭を下げると、そこに現われたひなたが「虚無蔵さん、私からもお願いします!」と、一緒になって頭を下げていたのである。
「お互いにバカ・アホと言いながらも距離を縮めていく五十嵐とひなた。前回には空腹で倒れた五十嵐が、大月家で夕食をご馳走になる場面もありました。そして今回、いよいよオーディションを翌日に控えた五十嵐を相手に、ひなたの掛けた言葉がなんとも意味深だったというのです」(前出・テレビ誌ライター)
五十嵐に「熱々の回転焼きを焼いてあげたい」という思いのひなたは帰宅後に毎日、回転焼き作りを練習。右手の甲にはやけどの跡、小指に絆創膏を巻きながらも、一所懸命に練習してきた様子だ。そしてこの日、心を込めて焼いた回転焼きを手渡したひなたは「明日、頑張って」と声をかけ、五十嵐も「ありがとう。これで頑張れる」と応じていたのである。
「五十嵐が夕飯をご馳走になった日には『頑張り』と京ことばで声をかけていたひなた。それがこの日はほとんど標準語の『頑張って』に変わっていたのです。その変化は京女のひなたが、東男の五十嵐に心を惹かれている様を見事に表していたのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
二人はお似合いの「東男に京女」のカップルとなるのか。五十嵐がオーディションに受かろうと受かるまいとに関わらず、ひなたの五十嵐への想いが変わっていく姿からは目が離せないことだろう。