その体質と付き合っていくべきか、それとも思い切った対策が必要なのか。彼女は大きな判断を迫られることになるのかもしれない。
6月2日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第39回では、比嘉家の三女・歌子(上白石萌歌)が、歌手オーディションの最終審査に臨む姿が描かれた。
高三の歌子は運送会社の事務員として内定をもらっているものの、歌手になりたいとの夢を捨てがたく、東京のアマキレコードが主催する新人発掘オーディションに応募。沖縄北部の名護で開催された予選審査では「翼をください」を高らかに歌い上げ、見事に予選通過を果たしていた。
しかし彼女はすぐに熱を出すなど子供のころから身体が弱く、最終審査も熱が下がりきらない体調で臨むことに。予選と同じ「翼をください」を歌っていたが、高熱で倒れてしまい、残念ながら失格となったのだった。
「自宅に戻った歌子は『もう嫌! また肝心な時に、なんでいっつもこんななるわけ!?』と慟哭。母親の優子(仲間由紀恵)からは歌子は歌子のままでいいと慰められるものの、『でも悔しい、デージ悔しい』と泣いていました。そのころ、東京の東洋新聞社でボーヤ(雑用係)として働いている姉でヒロインの暢子(黒島結菜)は、歌子の境遇に似ている話を見つけていたのです」(テレビ誌ライター)
大量の縮刷版から一通の投書を探していた暢子は、ウチナンチュー(沖縄人)が書いた投書を見つけて喜んでいた。すると同じ紙面に「熱出した母を七歳娘が看病」という投書も発見。そこには7歳の娘が生まれたころから身体を壊しがちで、油断しているとすぐに熱が出てしまうと書かれていたのである。
投稿者の母親はすぐに熱を出す娘に大変な不安を感じていたものの、医者に見せた結果、大きな病はなく、「これも一つの特性として受け入れてあげなさい」と言われたのだとか。そこから少しずつ前向きに考えられるようになったと綴られていた。
その投書に「ウチの妹もしょっちゅう熱出して」と共感していた暢子。5月30日放送の第36回では、お世話になっている沖縄県人会会長の平良三郎(片岡鶴太郎)から「一度、ちゃんとした医者に診てもらったほうがいいんじゃねえか?」と心配されていたものだ。
「制作側がわざわざ、歌子を想起させる投書を盛り込んできたことには、今後の展開を予感させるヒントが隠されていそうです。一つは投書の内容と同じように、歌子は身体の弱さも特性の一つとして受け止めるということ。しかしそれでは運送会社の事務員として地元に留まるだけに終わり、物語に広がりが出ません。そうなると、もう一つの『医者に診てもらう』という選択が、大きな意味を持ってくるのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)
比嘉家が住んでいる山原村は沖縄でも片田舎にあたり、大きな病院などないところ。この第39回でも長女の良子(川口春奈)が出産するにあたって産婦人科に行くわけでもなく、近所のオバアが自宅出産を手伝うような土地柄だ。
それゆえ歌子もこれまで、自身の虚弱体質に関してまともな診察を受けたこともないだろう。それに大きな借金を抱える比嘉家としては、検査程度で歌子を入院させるわけにもいかないところ。だが歌子がちゃんとした診察を受ければ、話が大きく展開する可能性もありそうだ。
「最悪のパターンは歌子が大きな病気に侵されているということ。ただヒロインの暢子を演じる比嘉は、4月30日に出演した『土曜スタジオパーク』にて比嘉家が勢ぞろいしての撮影があったと明かしており、歌子がこのままフェードアウトする恐れはなさそうです。そうなると診察を受けた歌子が何らかの治療を受け、熱を出しがちな体質を克服するという可能性もありえます。たとえば扁桃腺(口蓋扁桃)の摘出手術を受けるといったもので、実際に扁桃腺を取ったことで喉の腫れや発熱が著しく減少したという例は枚挙にいとまがありません」(テレビ誌ライター)
借金を抱える比嘉家に歌子の手術代が賄えるのかという問題はあるものの、いざとなればたいていのことは切り抜けてきた「ちむどんどん」ゆえ、そのへんはどうにでもなりそうだ。ともかく歌子には元気になってもらい、その歌声をもっと響かせてほしいという視聴者も多いに違いないだろう。
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