ちむどんどんが変えた「反省会」タグの役割、アンチの居場所から「作品批判の本拠地」に!

 8月5日放送の情報番組「あさイチ」(NHK)にて、出演予定だった宮沢氷魚が新型コロナ陽性のため欠席となった。そんな宮沢に対して視聴者の一部からは、欠席になってよかったのではとの声も出ているようだ。

 宮沢は放送中のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」に、新聞記者の青柳和彦役で出演中。沖縄出身のヒロイン比嘉暢子(黒島結菜)と結婚を約束するも、家柄の違いを理由に和彦の母親・重子(鈴木保奈美)から猛反対を受けているところだ。

 だが視聴者からは、優柔不断な和彦に対する批判の声が数多くあがっている。長年の恋人だった大野愛(飯豊まりえ)との婚約を「全部なかったことにしてくれ」と破棄し、その数日後には暢子にプロポーズするという変わり身の早さには、ほとんどの視聴者が呆れ果てるのも無理はない。

「この日の『あさイチ』ではMCの博多大吉が『和彦、今のところ好感度ないじゃない?』とピシャリ。宮沢がゲスト出演していたら大吉や博多華丸、さらには鈴木奈穂子アナからも和彦について質問攻めに遭い、肩身の狭い思いをしていたかもしれません。そんな『あさイチ』に視聴者からは《まるで「#ちむどんどん反省会」のようだ》との指摘も出ていたのです」(テレビ誌ライター)

 いまやツイッターのトレンドに顔を出すことも多くなったハッシュタグの「#ちむどんどん反省会」。ドラマに対する不満や、内容の矛盾・間違いについて鋭く指摘する声が数多く寄せられており、いわゆる“本タグ”の「#ちむどんどん」より投稿数が多い日も珍しくない。

 この「#ちむどんどん反省会」で指摘された間違いはもはや枚挙にいとまがない。昭和30年代の新聞に<沖縄に自衛隊><厚生労働省>という記述があったり、沖縄から本土には野菜や芋類が出荷できないのにそれを示唆する描写があるなど、本作はツッコミどころの宝庫となっている。

 8月3日放送の第83回では、重子に毎日お弁当を勝手に届けている暢子が「うち、何か間違ったことしている?」と開き直る場面も。そんな場面があるたびに「#ちむどんどん反省会」も盛り上がるのである。

暢子が最初に届けた「彩り野菜と鰤照り焼き弁当」。これで重子の考えを変えられると本気で思っているところが怖い。トップ画像ともに©NHK

■反省会タグには意外と長い歴史があった!

 そもそもこの「反省会」というハッシュタグはいつ生まれたのか。批判を目的として「ちむどんどん」の放送開始後に作られたと思っている人も多いようだが、朝ドラファンのあいだでは以前からおなじみのタグなのである。

 反省会タグが目立つようになったのは2016年前期の「#とと姉ちゃん反省会」あたりから。それ以降、「作品名+反省会」というフォーマットが定番化するようになった。それ以前の作品でも、古くは2012年後期の「#純と愛反省会」などが見受けられるが、どうやらそれらのツイートは反省会タグが広まった2016年以降に、過去作品をさかのぼる形で作られたようだ。

 ともあれすでに6年以上の使用歴がある反省会タグ。かなり評判の良かった前作の「カムカムエヴリバディ」でさえ、「#カムカムエヴリバディ反省会」を付けたツイートはそれなりの数がつぶやかれていた。たとえば、ハリウッド映画のスタッフとして来日したアニー・ヒラカワが実は年老いた雉真安子だったことについて<偶然が過ぎる!>といったツッコミが寄せられていたものだ。

 ただこれまでの作品で反省会タグは、あくまでアンチの声を集める道具として機能しており、正直なところいいがかり的なクレームも珍しくなかった。それに対して放送中の「ちむどんどん」では、むしろ「#ちむどんどん反省会」タグのほうが本タグさながらに盛り上がっているのである。

「以前から存在している反省会タグですが、『ちむどんどん』になってからその存在を知ったというツイッター民も少なくないようです。朝ドラは厚いファン層を誇ることもあり、少々不満をつぶやいたくらいでは埋もれがち。それが『#ちむどんどん反省会』には驚くほど多くの批判ツイートが集まるので、自分以外にも不満を抱いている人がこんなに多いのかと実感した視聴者が、どんどんと吸引されているようですね」(前出・テレビ誌ライター)

 反省会タグの盛り上がりに注目したのか、普段は朝ドラの話題を取り上げないメディアまでもが「ちむどんどん」の批判記事を掲載するようになってきた。いまや、作品を批判するための本拠地と化した反省会タグ。願わくば次回以降の作品では、反省会タグがあまり盛り上がらないことを祈るばかりだ。