石原さとみ、初の母親役よりも注目すべきは「配役の示す意味」

 10月29日公開の映画「そして、バトンは渡された」において、石原さとみが初の母親役に挑戦することが分かった。石原の役柄は再婚により永野芽郁の義母になるもので、公式サイトには「初めての母親役でしたが、私の周りにもお友達の子供も多いですし、気負わずに演じることができたと思います」との本人コメントが掲載されている。

「正直なところ、石原さんが母親の役だなんてまったくイメージできないです。34歳の母親は全然おかしくありませんが、永野芽郁ちゃんはもう21歳の大人。再婚という理由はあるにせよさすがに無理があるのではと感じてしまいます」(女子大生ライター)

 もっとも、同じホリプロの綾瀬はるかは33歳だった2018年にドラマ「義母と娘のブルース」(TBS系)において、高三になる義理の娘を持つ母親を演じていた。娘役の上白石萌歌は当時18歳で、その年齢差は15歳。今回の石原と永野は13歳差なのでほとんど変わらず、義母と娘の関係としては決して無理はないようだ。

 それゆえ「初の母親役」自体に、さほどのインパクトはないと見る向きも少なくない。ただ別の観点から、今回の配役には大きな意味があるとの指摘もあるという。

「なにしろ本作の主演は石原でも父親役の田中圭でもなく、娘役の永野ですからね。つまり石原は13歳年下の後輩女優に主役の座を譲り、二番手として出演しているのです。これまで数々のドラマで主役を張り、映画ではヒロインのポジションを務めてきた石原が二番手を務める。この配役に多くの業界関係者が注目しています」(芸能記者)

映画「そして、バトンは渡された」で主役の優子を演じる永野芽郁。

 石原の出演作を振り返ると、映画では「決算! 忠臣蔵」(2019年)の瑤泉院、「忍びの国」(2017年)のお国、「シン・ゴジラ」(2016年)のカヨコ・アン・パタースンはいずれも女性キャストのトップに当たるポジション。連続ドラマでは11作連続で主役を務めており、堂々たる主演女優だ。それがここにきて二番手に降りたことにはどんな意味があるのだろうか。

「これを降格と捉えるのは安直な見方でしょう。本映画は3人の父親と2人の母親という複雑な環境に育った娘を主軸に据えた物語であり、21歳の永野が主役を務めるのは必然。そのストーリーにおいて石原が義母役としてどっしり構えるからこそ、永野はその上で自由に演じることができる。つまり義母役は本作に欠かすことのできないコーナーストーン(礎石)であり、それを任せられる女優はそう多くないはず。そう考えると石原は“二番手”という肩書きの主役を務めているも同然ではないでしょうか」(芸能記者)

 今回の「そして、バトンは渡された」は石原にとって、かなり重要な作品になる可能性を秘めているのかもしれない