【舞いあがれ!】また城崎温泉に行ったの?細部のつくりが雑になっていた!

 神は細部に宿るというが、本作では細部の描写がどうにも甘いようだ。

 2月3日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第86回では、航空学校の同期生がヒロイン岩倉舞(福原遥)のもとを訪れることに。そこで交わされた会話に不自然さを感じた視聴者もいたという。

 舞は水島(佐野弘樹)と吉田(醍醐虎汰朗)を、幼馴染の貴司(赤楚衛二)が営む古書店のデラシネに案内。なんでも自宅は水道の調子が悪く、お好み焼うめづは町内会の慰安旅行で休業。そしてカフェノーサイドも臨時休業だったという。

「その話を聞いた貴司は『今日から城崎温泉や言うてたわ』とつぶやきましたが、その発言に疑問を抱いた視聴者も多かったはず。というのも1月25日放送の第79回ではうめづの女将・雪乃(くわばたりえ)が岩倉家を訪れ、母親のめぐみ(永作博美)に『城崎行ってきてん』と告げていたからです。大阪からは日帰りでも足を運べるポピュラーな観光地とは言え、町内会の旅行で行くことが分かっているところに2回も足を運んだりはしないでしょう」(テレビ誌ライター)

 本作を欠かさず見ている人には「あれっ?」と、その不自然さがすぐに分かる場面だった。ただ前週は桑原亮子氏が脚本を担当していたのに対し、今週は佃良太氏が担当。脚本レベルではその重なりに気が付かなかったのかもしれない。

 とはいえ演出家を含めてほとんどの制作スタッフは変わらないのだから、そういった細部にも気づいてほしいところ。実はこの手のミスは、舞の祖母・祥子(高畑淳子)が暮らす長崎・五島でも露呈していたのである。

五島で役場職員として働く浦信吾。トップ画像ともに©NHK

 五島では観光振興策として、若者をターゲットにした釣りフェスタを開催。役場職員の浦信吾(鈴木浩介)が音頭を取り、祥子や船大工の木戸豪(哀川翔)、カフェを営むさくら(長濱ねる)らも協力していた。その場面に矛盾点があったというのだ。

「彼らが住む知嘉島は、五島崎町という町にあります。信吾が着ている役場のジャンパーにも『五島崎町知嘉支所』との所属名が縫い付けられていました。ところが信吾が制作した釣りフェスタのチラシでは、なぜか主催が福中市、共催が福中市商工会や福中市観光協会となっていたのです」(前出・テレビ誌ライター)

 よもや五島崎町は自治体ではなく、福中市五島崎町という地域名なのだろうか。しかし信吾は役場職員を名乗っているが、役場というのは町村に限定された呼び方であり、市の場合は市役所と呼ぶもの。このように五島のシーンでは福中市と五島崎町の使い分けがあいまいになっているのである。

 この調子ではほかにも気が付かない細部に、矛盾が潜んでいる恐れもある。なにより本作は1000分の1ミリ単位の工作精度が要求される航空機用部品が大事なテーマの一つ。ここはぜひ「細部」にこだわっていただきたいものだ。