ラブラブな様子だった二人は果たして幸せになれるのか。視聴者も心配でしょうがないようだ。
3月3日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第86話では、ヒロインの大月ひなた(川栄李奈)と大部屋俳優の五十嵐文四郎(本郷奏多)が恋仲になった様子が描かれた。
前回、映画「妖術七変化!隠れ里の決闘」の敵役オーディションに合格は出来なかったものの、役名のある出番をもらえることになった文四郎。今回はひなたと二人で完成した映画を観に行き、文四郎が斬られるシーンで嬉しそうにしたり、ラストのクレジット表記に喜んだりしていた。映画の後はひなたの家で夕食をご馳走になる五十嵐。ひなたの両親にもすっかり受け入れられている様子だ。
そして迎えた夏祭り。浴衣姿のひなたが風鈴に興味を示すと、すかさず文四郎が500円を支払ってプレゼント。しかも文四郎はひなたと舞台で共演した「ミス条映コンテスト」にて語った「拙者、家禄もわずか。主君の覚えもめでたからず。されど、そなたを幸せにしたい。ついてきてくれるか」とのセリフを口にし、ひなたをハグ。若きカップルの幸せが成就したように見えたのである。
「この場面に『カムカムエヴリバディ』のファンは大いに感動しました。というのも初代ヒロインの安子(上白石萌音)や二代目ヒロインのるい(深津絵里)も、ひなたと同じように交際相手と一緒に夏祭りを楽しんでいたからです。それに母親のるいも錠一郎(オダギリジョー)から風鈴を買ってもらっていましたから、視聴者もひなたと文四郎がそのままゴールインすると確信していたことでしょう」(テレビ誌ライター)
このように“伏線回収”の夏祭りシーンがすっかり盛り上がっていた第86話だったが、事態は思わぬ方向に展開。作中では時間がいきなり8年も過ぎ去り、ひなたと文四郎が交際を始めた昭和59年(1984年)から、平成4年(1992年)へと時が移り変わっていたのである。
その平成4年では、高校生になった弟の桃太郎は野球の強豪校に進んだものの、ひなたは単に27歳になっただけ。29歳の文四郎とはまだカップルのままで結婚しておらず、しかも文四郎はセリフを与えられない大部屋俳優のままだった。
「祖母の安子は18歳で、母親のるいは19歳で結婚しましたから、孫のひなたも条映映画村に入社した翌年の二十歳で文四郎と結婚していそうなものでした。しかし生き方が不器用な文四郎は大部屋俳優から脱することができず、時代が平成に移り変わっても《家禄もわずか》のまま。おそらく、役名のある立派な俳優になったら結婚するとの気持ちを秘めたまま、いたずらに年齢ばかりを重ねていたのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
そんな展開に、一部の視聴者から<不幸フラグが立っていたのでは?>という疑念の声もあがっていたようだ。
この親子三世代を比べると、祖母の安子は夫を戦争で失い、娘のるいからも嫌われるという不幸な人生を送ることに。それに対してるいは天涯孤独を感じながら育つも、錠一郎と運命的な出会いを果たし、今は子供にも恵まれて幸せな結婚生活を送っている。それでは孫のひなたはどうなるのだろうか?
「この状況だとひなたは、祖母・安子の不幸を繰り返しかねない様子。それを予感させたのが夏祭りでの服装でした。安子と稔が浴衣姿だったのに対し、るいと錠一郎は普段着のまま。そして孫のひなたと文四郎は浴衣姿だったのです。それゆえひなたの浴衣姿に、安子と似た運命をたどるという“不幸フラグ”を感じるのも無理はありません。夏祭りデートは決してカップルの幸せを保証するものではないというのが、この『カムカムエヴリバディ』の残酷なところではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
弟は大好きな野球で強豪校に進学し、お世話していた女優の美咲すみれは大根役者から人気ドラマ「茶道家 水無月ぼたんの事件簿」の主役へと出世していた。周りが先に進むなか、ひなたと文四郎のカップルは歩みを止めたまま。果たして二人の仲は進展するのか、視聴者も親目線で心配していることだろう。